2026年3月14日のダイヤ改正に合わせ、JR東日本の運賃が引き上げられます。3月14日以降に購入するきっぷが、運賃引き上げの対象です。
来たるゴールデンウィーク期間中に鉄道で旅行する場合、引き上げ後の運賃が適用されるものだと思う方が多いのではないでしょうか。
実は、JR線のきっぷが乗車日の1か月前から購入可能であることと「乗車変更」という制度を活用することによって、引き上げ前の旧運賃のままGW期間のきっぷを購入できます。手間を惜しまなければ、旅費の節約が可能なのです。
具体的には、4月13日から有効となる普通乗車券を運賃引き上げ直前の3月13日に購入しておき、4月13日にGW期間開始の普通乗車券として乗車変更するというワザです。

今回引き上げの対象となるのは、運賃(普通乗車券および定期乗車券)のみです。特急券やグリーン券といった各種料金は据え置きになるため、焦って購入する必要はありません。
この記事では、駅や旅行会社で購入する普通乗車券およびJR東日本のネット予約サービス「えきねっと」で購入可能な「新幹線eチケット」などの各種きっぷについて、運賃引き上げ後に旅行を開始する場合に旧運賃を引き継ぐ方法を徹底的に解説します。
当記事でご説明するワザが、GW時期に旅費を少しでも節約したい方の参考になれば幸いです。
- 旧運賃を引き継げるのは、乗車変更の制度がある普通乗車券のみであること
- とりあえず初乗り区間の普通乗車券を購入し、後から変更することも可能なこと
- 「えきねっと」利用の場合、3月13日中に決済が完了することが条件であること
3月13日に任意の区間の普通乗車券を買っておく

4月13日(月)から有効となる任意の区間のきっぷを3月13日(金)にとりあえず購入しておき、4月13日に乗車変更の手続きを行うことによって、最終的に5月3日から有効となるきっぷに対して旧運賃を適用することが可能です。
最初に、運賃改定日以降に旅行を開始する際、旧運賃を引き継ぐための具体的な手順をご説明します。
後述するように、このワザは、普通乗車券および「えきねっと」上で購入する特定のきっぷのみが対象です。後述する通り、定期乗車券にはこのワザを適用できないので、注意してください。
駅・旅行会社を利用する場合
駅やJR券を取り扱う旅行会社で紙のきっぷを購入する場合の流れは、以下の通りです。
3月13日に普通乗車券(原券)を購入
JR線のきっぷが乗車1か月前の応当日から発売開始となるルールを活用し、1か月先のきっぷを購入します。3月13日(金)に、4月13日(月)から有効となる普通乗車券をとりあえず購入しておきましょう。
この普通乗車券に関しては、実際に旅行する区間とは別の任意の区間で差し支えありません。どこに旅行するか決まっていない場合、初乗り区間の150円で普通乗車券を購入しておくのがおススメです。
全国のJR駅で購入する場合、みどりの窓口または指定席券売機・話せる指定席券売機を利用します(JR他社では呼称が異なります)。近距離券売機では当日開始の乗車券しか購入できないため、1か月先までの乗車券を購入するための手段として有効ではありません。
今回の運賃改定と同時に発売終了となる往復・連続乗車券については、3月13日までに往復・連続乗車券として購入しておけば、運賃改定日以降も利用可能です。
乗車変更の元となるきっぷ(今回は普通乗車券)のことを「原券」と呼びます。実務上よく使う用語なので、覚えておいて損はないでしょう。
4月13日までに乗車変更の手続きを行う
4月13日から有効となる原券を持って駅に向かい、乗車変更の手続きを行います。
GW連休期間中のきっぷを購入する場合、4月13日を待たず旅行開始日の1か月前に駅に行き、指定券の手配と普通乗車券の乗車変更を同時に済ませるとよいでしょう。
旅行開始前の乗車券類にあっては、有効開始日だけではなく、乗車区間の変更も可能です。きっぷを新規に購入する場合のみならず、乗車変更の際にも最長1か月先までのきっぷに変更可能です。
駅のみどりの窓口または指定席券売機で手続きを行う際、変更後の普通乗車券の発行金額が原券の発行金額よりも高額ならば差額を支払い、逆であれば差額が戻ってきます。なお、指定席券売機で可能な乗車変更のパターンには制限があることに留意しましょう。
乗車変更後の普通乗車券に記載された発行金額は旧運賃が引き継がれ、券面の右上には「乗変」ならびに原券の発行月日が表示されます。
乗車1か月前からきっぷを購入できるルールと、旅行開始前ならば1回のみ無手数料で普通乗車券間の乗車変更が可能なルールをかけ合わせることにより、最長2か月先の普通乗車券に旧運賃を反映させることが可能なのです。
ネット予約サービス「えきねっと」を利用する場合
JR東日本が運営するネット予約サービス「えきねっと」で、「新幹線eチケット」や普通乗車券(紙のきっぷ・Qチケ)を購入する場合の流れをご説明します。
「新幹線eチケット」は本来、特急券の扱いです。しかし、乗車券とセットのきっぷであるため、今回の運賃改定に伴って料金が引き上げられます。
旧運賃・料金を引き継ぐには、3月13日までに決済を行うことが必須です。タイミングを逃さないよう、注意しましょう。
3月13日に原券を購入し決済完了する
1か月先までのきっぷを購入できる点は、駅・旅行会社と「えきねっと」において共通です。ただし、「えきねっと」は自分で操作を行うのが大きな違いです。
3月13日に新規購入する場合、決済手段はクレジットカードによるオンライン決済に限定されます。
4月13日から有効となる任意の区間のきっぷをとりあえず決済しておくわけですが、「えきねっと」上で購入可能な「新幹線eチケット」と普通乗車券(Qチケを含む)は別の券種になるので要注意です。
最終的に「新幹線eチケット」を利用するのであれば原券も「新幹線eチケット」とし、普通乗車券を利用するならば普通乗車券を原券とすることがポイントです。
購入すべき券種の判断を間違えると乗車変更できず、払いもどしの対象となってしまうことがあるので注意しましょう。
4月13日までに乗車変更の手続きを行う
原券の旅行開始日である4月13日までに「えきねっと」上で乗車変更の操作を行えば、変更後のきっぷにも旧運賃が引き継がれます。
その際、紙のきっぷを受け取ることなくオンラインで乗車変更の操作を行うことがポイントです。紙のきっぷを4月13日までに受け取ってしまった場合、駅での乗車変更と同じ扱いとなるので注意しましょう(その場合、券種によっては乗車変更が不可能です)。
オンラインで乗車変更の手続きを行う場合、「えきねっと」特典が適用される区間であれば、新規購入した際の旅行開始日から最大90日先までの乗車変更が可能です。
「えきねっと」上での2回目以降の変更操作に対して旧運賃を引き継げるかに関しては十分な情報がないため、詳しい説明を割愛します。

本来新運賃が適用されるはずのきっぷに対して、このように旧運賃を引き継ぐことが可能なのは、一体なぜでしょうか?これから、そのカラクリを見ていきましょう!
旧運賃を引き継ぐカラクリを解説~運送契約の成立と乗車変更~

運賃引き上げに伴って旧運賃を適用するか、新運賃を適用するかは、運送契約の成立時期が関わってきます。
旅客営業規則や関係約款上、代金を支払ってきっぷを受け取った時もしくは決済を完了してメールが到達した時をもって、運送契約が成立したものとされます。
運送契約が運賃改定日の前日までに成立した場合は旧運賃が適用され、運賃改定日以降に成立した場合は新運賃が適用されるというわけです。
JRきっぷにおける「乗車変更」とは、手数料を収受することなく同一の券種間で原券と異なる乗車日・乗車区間に変更できる取り扱いを指します。
旅行開始前における乗車変更を「乗車券類変更」と呼び、1回のみ可能です。乗り越しなどで乗車変更が旅行開始後に生じた場合「区間変更」等の取り扱いとなりますが、旧運賃を引き継ぐ点においては両者の差はありません。
乗車変更を経ても原契約が引き継がれるため、旧運賃ベースで契約を結んでおけばよいということになります。
画像引用元:JR東日本運賃改定のご案内
これは、駅・旅行会社で普通乗車券を購入した場合の時系列です。普通乗車券を購入した時点で旧運賃が適用されるか、あるいは新運賃が適用されるかが決まります。3月13日までに購入が完了していれば旧運賃、3月14日以降であれば新運賃です。
画像引用元:えきねっとウェブサイト
この考え方は「えきねっと」でも同様であり、改定日前に決済を完了すれば旧運賃・料金が、改定日以降であれば新運賃・料金が適用されます。
駅においては「きっぷを受領した」時点で、「えきねっと」においては「決済が完了しメールが到達した」時点で契約成立となる点が異なることを押さえましょう。
このように、旧運賃を引き継ぐことが可能なカラクリは、元となる運送契約の成立時期にあります。したがって、運賃改定前に運送契約を成立させておく(きっぷを買っておく)ことが肝要なわけです。

旧運賃を引き継ぐことの理論が理解できたところで、旧運賃・料金できっぷを買っておき、乗車変更によって旧運賃・料金を引き継ぐ具体例を見ていきましょう!
乗車変更の際に旧運賃を引き継ぐ具体例
運賃改定日の前日までにきっぷを買っておき、事後に乗車変更を行って旧運賃・料金を引き継ぐ具体例を、在来線の普通乗車券と「新幹線eチケット」に分けてご説明します。
GWに伊東駅に出かける場合の普通乗車券

はじめに、GWの連休中に東京駅(東京都千代田区)から伊東駅(静岡県伊東市)に出かけるために購入する普通乗車券について、検討しましょう。
東京駅から伊東駅に向かう経路として東海道新幹線経由と東海道線(在来線)のいずれかが考えられますが、ここでは全区間在来線を利用するものとします。
東京山手線内・伊東駅間(営業キロ121.5km)における改定前後の運賃額は、以下の通りです。
- 旧運賃:2,310円
- 新運賃:2,420円
この区間の普通乗車券を3月13日までに購入しておけば旧運賃の2,310円が適用され、3月14日以降に新規購入すると新運賃の2,420円が適用されます。旧運賃で購入しておけば、110円の節約効果が生じるわけです。

これは、運賃改定前日の3月13日に旧運賃で購入し、4月13日が旅行開始日の原券です。東京駅・神田駅間の普通乗車券は、旧運賃の150円で発行されています。

これは、4月13日に乗車変更の手続きを行った後に手にする、5月3日が旅行開始日の新たな券です。運賃改定後に手続きしたにもかかわらず、旧運賃が適用されています。なお、乗車変更後の新券の右上に表示されているのは、乗車変更済みであることを示す「乗変」と原券の発行月日です。
あらかじめこの区間の普通乗車券を買っておいてもよいし、3月13日にとりあえず東京駅・神田駅間150円の普通乗車券を購入してから3月14日以降に乗車変更しても同じ結果が得られます。
GWに仙台駅に出かける場合の「新幹線eチケット」

次に、GWの連休中に東京駅(東京都千代田区)から仙台駅(仙台市青葉区)に出かけるために購入する「新幹線eチケット」について見ていきます。
「新幹線eチケット」は新幹線特急券と普通乗車券がセットになったきっぷで、乗車変更の手続きにおいては特急券扱いです。当日限り有効であるため途中下車できず、特定都区市内制度も適用されません。近距離きっぷと同じ使い方と考えるとよいでしょう。
東京駅・仙台駅間(営業キロ351.8km)における改定前後の料金額は、以下の通りです。
- 旧運賃:11,210円
- 新運賃:11,430円
この区間の普通乗車券を3月13日までに決済しておけば旧料金の11,210円が適用され、3月14日以降に新規購入すると新料金の11,430円が適用されます。旧料金で購入しておけば、220円の節約効果が生じるわけです。

これは、運賃改定前日の3月13日に旧料金で購入し、4月13日が旅行開始日の原券です。大宮駅・高崎駅間における「新幹線eチケット」の旧料金は、3,540円です。

これは、4月13日に乗車変更の手続きを行った後に手にする、5月03日が旅行開始日の新たなものです。運賃改定後に手続きしたにもかかわらず、旧料金が適用されています。
あらかじめ同区間の「新幹線eチケット」を買っておいてもよいし、3月13日にとりあえず東京駅・高崎駅間3,540円の「新幹線eチケット」を購入してから3月14日以降に乗車変更しても同じ結果が得られます。
節約できる金額は一人片道当たり220円に過ぎませんが、これが往復かつファミリーやグループで旅行するとなると馬鹿になりません。

このように、3月13日までに旧運賃できっぷを買っておくと旧運賃を引き継ぐことができておトクですが、注意点が若干あります。
旧運賃の原券を乗車変更する場合の注意点

運賃改定前日の3月13日までに普通乗車券を旧運賃で購入しておき、運賃改定が実施された3月14日以降に乗車変更することで旧運賃を引き継ぐというワザには、若干の注意点が伴います。
まず、このワザが通用するのは、普通乗車券のみです。定期乗車券には乗車変更制度そのものが存在しないため、応用することは不可能です。
定期乗車券について、運賃改定に対抗する手段を考察しました。詳しくは、以下の記事をぜひご一読ください。
また、無手数料で乗車変更が可能なのは、旅行開始前において1回きりです。乗車変更した後にさらに変更する必要が生じた場合、それらのきっぷを払いもどす必要があり、所定の払戻手数料を課せられます。
例えば、一旦乗車変更をした後にさらに予定が変わってしまったという場合には、元のきっぷを払い戻した上、新運賃で買い直さなければなりません。このような状況を防ぐためには、乗車変更の手続きを行うまでにしっかりと旅程を固めておきましょう。
「大人の休日俱楽部」会員割引きっぷについては、乗車変更のルールが変則的で、思ったように乗車変更できません。詳しくは、姉妹サイト「鉄道の極み」に投稿した以下の記事をご一読ください。

まとめ ~乗車変更を活用し財布を守る~

GWに予定している鉄道旅行の旅費をいかに節約するか、JR東日本の運賃改定が実施される3月14日の前日に鍵があります。
3月13日(金)に1か月先の4月13日に有効となる普通乗車券(原券)を購入し、4月13日までにGW期間に有効となる普通乗車券(新券)に乗車変更するという行動をとると、とても有効です。
ネット予約サービス「えきねっと」でも同様のことが言えますが、3月13日までに決済完了することが条件になります。
購入が完了した時点の運送契約(旧運賃の適用)が乗車変更後も引き継がれることが、このようなワザが成立する理由です。
ただし、無手数料で乗車変更が可能なのは、1回きりです。乗車変更したきっぷをさらに変更することはできないため、払戻手数料が発生する上、旧運賃を引き継げなくなります。乗車変更の手続きは、慎重に旅程を練ってからにしましょう。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 運賃改定のご案内(JR東日本)2026.2閲覧
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 2026.2閲覧
● えきねっと JR券申込サービスに関する規約(JR東日本)2026.2閲覧
当記事の改訂履歴
2026年02月11日:当サイト初稿





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