JR線を利用する場合、乗車回数に応じて適したきっぷが異なります。
1回のみ乗車できるきっぷを普通乗車券と呼び、誰でも利用できます。一方、同じ乗車区間を一定の期間にわたって繰り返し利用する場合、定期乗車券が利用可能です。
定期乗車券の値段は普通乗車券の値段を基にして定められていますが、乗車1回あたりの単価は普通乗車券より割安に設定されています。同じ区間を頻繁に乗車する場合、定期乗車券を購入した方が普通乗車券を毎回購入するよりも有利です。
このように、利用回数によっては定期乗車券を購入することが適しているものの、普通乗車券と定期乗車券では発売方法や効力にちがいがあります。
例えば、きっぷを購入できる期間や距離、指定された経路と異なる経路に乗車できる特例、乗車変更・払いもどしの取り扱いについて、普通乗車券と定期乗車券では差があります。
これらの差を押さえることで、普通乗車券と定期乗車券を効果的に使い分けることが可能です。

乗車経路を比較的柔軟に選べる普通乗車券と異なり、定期乗車券については例外を除き乗車経路が完全に固定されます。定期乗車券を購入する際は、乗車経路をあらかじめよく検討しましょう。
この記事では、JR在来線における普通乗車券と定期乗車券に関する取り扱いの差異について、旅客営業規則等の運送約款に定められた内容をもとにご説明します。実務に携わる方や規則に興味がある方にとって、当記事が参考になれば幸いです。
- 定期乗車券であっても、実務上は大半の特急列車やグリーン車の利用が可能であること
- JR北海道・東日本管内の経路特定区間(第69条)は、定期乗車券も対象であること
- 定期乗車券でも、特定の分岐区間に対する区間外乗車特例について対象であること
普通乗車券と定期乗車券の値段の設定方法
最初に、普通乗車券と定期乗車券の値段の設定方法のちがいを見ていきます。
普通乗車券
普通乗車券の値段(普通運賃)は、乗車する距離(営業キロ・運賃計算キロ・擬制キロ)に一定の係数(運賃水準に関する係数を「賃率」と言います)を乗じて算出されます。
普通運賃を算出する上での基礎になる賃率は、乗車するJR会社や線区によってそれぞれ定められています。乗車区間がひとつのJR会社で完結するか、複数のJR会社をまたがるかで普通運賃の計算方法が異なり、その方法は非常に複雑です。
また、大都市周辺で他社と競合する区間については、通常の普通運賃よりも低額な運賃額が区間ごとに特定されています。
例えば、大阪駅・姫路駅間(電車特定区間:営業キロ87.9km)の普通運賃の金額は、大人1,460円です。
定期乗車券
定期乗車券の値段(定期運賃)については、乗車する距離に応じて運賃表が定められています。通勤・通学定期乗車券の有効期間には1か月・3か月・6か月の設定があり、3か月および6か月に関しては1か月定期の金額を基に割引されています。
定期運賃については、普通運賃と同様に乗車するJR会社や線区によって賃率が異なるのが特徴です。
大都市周辺の他社競合区間に関しては、普通運賃と同様に通常の定期運賃よりも低廉な運賃額が設定されています。
上記の大阪駅・姫路駅間の1か月定期運賃の金額は、大人40,470円です。
普通乗車券と定期乗車券で乗車可能な回数
普通乗車券と定期乗車券の最も分かりやすいちがいは、乗車可能な回数です。それぞれ見ていきましょう。
普通乗車券
普通乗車券で乗車可能なのは、1回限りです。普通片道乗車券であれば、片道1回乗車できます(普通往復乗車券・普通連続乗車券も同様ですが、2026年3月に発売終了となります)。
普通乗車券に記載された発駅から旅行を開始し、着駅で改札口を出場したら、当該普通乗車券は旅行終了として回収されます。
同じ乗車区間を一定期間反復して利用する見込みがなければ、1回限り有効な普通乗車券を購入するとよいでしょう。
定期乗車券
通勤・通学定期乗車券を購入すると、当該定期乗車券に記載された区間に有効期限が到来するまで何回でも乗車できます。通勤や通学時でなくても、定期乗車券の有効期間内であれば自由に乗車できるため、発売金額以上の価値を感じることでしょう。
普通乗車券と異なり、旅行開始・終了という概念はありません。
定期乗車券の運賃は、有効期間内に毎日往復した場合の普通運賃よりも低額に設定されているのが一般的です。したがって、一定の日数以上同じ乗車区間を往復するのであれば、1回乗車するごとに普通乗車券を購入するよりも、定期乗車券を購入した方がおトクです。
普通乗車券と定期乗車券各別の購入可能な距離・経路
普通乗車券と定期乗車券では、発売対象となる距離が異なります。そのちがいを見ていきましょう。
普通乗車券
普通乗車券においては、購入可能な距離に特段の制限はありません。
ただし、乗車経路は一筆書きになっている必要があり、今まで通った線路に戻った場合は戻った駅で運賃計算を打ち切ります(規則第68条第4項)。運賃計算を打ち切った駅が着駅となる形です。
後述するように、普通乗車券では一定の制限に該当しない限り、途中駅で改札を出ることが可能です(途中下車と言います)。途中下車をうまく活用すると、最終的な着駅まで一枚のきっぷで旅行できます。
定期乗車券(通勤・通学)
定期乗車券については、通勤・通学定期乗車券とも100km以内の区間を発売するものとされています(規則第35条・第36条)。そのため、定期運賃は1kmから100kmまでの発売金額が1kmごとに定められています。
なお、JR各社が特に認める場合は、100kmを超える場合であっても定期乗車券を発売するという例外規定が存在します(規則第37条)。
乗車経路については普通乗車券と同様で、乗車経路が一筆書きになっていることが必要です。乗車経路通りに発売される定期乗車券については、発駅と着駅が同じ場合があります。乗車経路が一周となる場合が該当し、その場合周回経路全体が乗り放題な状態となります。
神田駅・御茶ノ水駅・秋葉原駅・神田駅間の周回経路がその好例で、当該区間全体が一定期間乗り放題となる形です。この区間の定期乗車券に関する詳細および定期乗車券の実物を、以下の記事でご紹介しています。ぜひご一読ください。
普通乗車券・定期乗車券の発売日・発売条件
普通乗車券・定期乗車券とも、乗車経路通りに発売されます(規則第67条)。ここでは、これらの乗車券の発売日や発売条件について見ていきましょう。
普通乗車券
普通乗車券は、規則上乗車当日に発駅で発売されることになっています(規則第20条)。ただし、実際には発売条件が緩和され、柔軟に発売されることが多いです。
駅窓口・指定席券売機およびJR各社のネット予約サービスにおいては、乗車日の1か月前から発売が始まります。自駅発着の普通乗車券はもちろん、他駅発着のものについてもJR全社で購入可能です(JR東日本管内の指定席券売機では一部購入不可のケースあり)。
JRが指定する学校に通学するユーザーに対しては、片道100kmを超える場合に学割が適用されます。距離要件を満たせば、乗車区間等の制限は特にありません。
定期乗車券
定期乗車券については、規則上は使用開始日の7日前から新規購入が可能ですが(規則第21条第1項第2号)、実際はJR各社が発売期間を任意に設定しています。
例えば、JR各社においては、新規購入・継続購入とも使用開始日から14日前(2週間前の同じ曜日)から可能です。
通勤定期乗車券に関しては、購入資格には特に制限はありません。居住地にかかわらず、日本全国の通勤定期券を誰でも購入可能です。
ただし、通学定期乗車券に限っては、購入条件に制約があります。JRが指定する学校に通学するユーザーの自宅の最寄駅と学校の最寄駅の区間に限って購入可能です。また、通学定期乗車券は指定学校の通学のみに適用され、学習塾への通学やアルバイト等の通勤は対象外です。
特急列車・グリーン車等の利用上の制限
普通乗車券・定期乗車券とも、乗車券単体で乗車できるのは普通・快速列車の普通列車自由席です。特急列車やグリーン車、普通・快速列車の指定席を定期乗車券で利用できるかどうかが問題になります。
ここでは、普通乗車券と定期乗車券の各別で、特急列車・グリーン車等の利用上の制限についてご説明します。
普通乗車券
普通乗車券を使用すれば、乗車可能な列車の種別や設備に制限はありません。
ただし、普通乗車券に加えて、列車種別・設備に応じた料金券が別途必要です。列車種別によって必要なきっぷの組み合わせは、以下の通りです。
| 列車種別 | 設備 | 必要な料金券 |
| 特急列車 | 普通車指定席 | 特急券 |
| 普通車自由席 | 自由席特急券 | |
| グリーン車指定席 | 特急券+グリーン券 | |
| B寝台(指定席) | 特急券+B寝台券 | |
| A寝台(指定席) | 特急券+A寝台券 | |
| 普通・快速列車 | 普通車指定席 | 指定席券 |
| 普通車自由席 | (必要なし) | |
| グリーン車指定席 | 普通列車用グリーン券(A) | |
| グリーン車自由席 | 普通列車用グリーン券(B) | |
| ホームライナー | 座席整理券 |
特急料金には規則上の金額とは別に、個別に特定の金額が設定されることがあり、特定特急券と呼ばれます。また、普通・快速列車におけるグリーン券については、指定席にかかるグリーン券は(A)、自由席にかかるものは(B)と区分されています。
定期乗車券
定期乗車券を使用する場合、普通・快速列車の普通車自由席以外の設備を利用することは規則上禁止されています(規則第161条)。もちろん、グリーン定期券を利用して普通列車のグリーン車を利用することは制限されません。
しかし、現在では定期乗車券ユーザーにも特急列車やグリーン車の利用が事実上解禁されています。列車ごとに定期乗車券での乗車ができるか否かが定められているので、あらかじめチェックしましょう。
特急列車やグリーン車の利用促進を図ることが鉄道会社にとって増収につながることから、定期乗車券ユーザーにも開放することは合理的であると言えます。
一部の観光列車等、特別な列車に関しては定期乗車券では乗車できないことに留意しましょう。
途中下車
乗車券の有効区間内の途中駅でいったん改札口を出場してから再び入場し、同じ乗車券で引き続き旅行を続けることを「途中下車」と言います(規則第156条)。
普通乗車券
引き返すことなく同じ方向に旅行を続ける限り、乗車区間内の途中駅では原則的に途中下車が可能です。ただし、普通乗車券に関しては、以下の条件に該当する場合には例外的に途中下車できません。
- 片道の営業キロが100km以下の普通乗車券
- 乗車区間が大都市近郊区間で完結する普通乗車券
- 特定都区市内制度が適用される普通乗車券では、特定都区市内に属する各駅
定期乗車券
定期乗車券は回数に制限なく有効期間中は乗り放題であるため、途中下車には制限がありません。
途中下車制度の活用に関しては、以下の記事をぜひご一読ください。

普通乗車券と定期乗車券の取り扱いに関する基本を押さえたところで、各種特例に踏み込んでいきたいと思います!
他経路乗車に関する特例
特定の区間については複数の乗車経路が存在し、利用を適度に分散するために経路特定区間が設定されています(規則第69条)。また、全国57か所に設定された選択乗車特例により、該当する区間では並行する他経路に乗車可能です(規則第157条)。
定期乗車券に限り、普通乗車券における選択乗車特例に類似した他経路乗車特例が設定されており、他経路を短絡乗車できます(基準規程第153条)。
これらの特例が普通乗車券および定期乗車券に適用されるか否かを見ていきましょう。
普通乗車券
普通乗車券については、経路特定区間特例および選択乗車特例が適用になります。
経路特定区間(規則第69条)
規則第69条には、全国で9か所の経路特定区間が定められており、営業キロが短い指定経路で運賃・料金の計算を行います。乗車区間が該当する場合はこの特例が強制的に適用され、運賃・料金計算上の経路を任意に指定できません。
したがって、経路特定区間を通過する場合はいずれの経路を利用しても問題なく、下車前途無効のきっぷでない限り途中下車も認められます。
普通乗車券に関しては、全国9か所のいずれも適用されます。
東京附近の経路特定区間(規則第70条)
規則第70条には、東京附近の特定区間について規定されています。該当する区間(太線区間と呼ばれます)を通過する場合には区間内の経路は指定されず、一筆書きになる限り任意の経路を利用可能です。

普通乗車券に関しては、この特例が適用されます。
選択乗車(規則第157条)
規則第157条には、全国に57か所の選択乗車可能な区間が定められており、該当する区間を通過する場合には乗車券に記載されていない経路も選択できます。発券可能な経路が一方に強制される規則第69条とは異なり、発券に際しては両経路を任意に選択することが可能です。
また、大都市近郊区間制度も、一種の選択乗車に当たります(規則第156条第2項)。大都市近郊区間で完結する乗車券を使用する場合、途中下車できない一方で同区間内で任意の経路を選択可能です。
普通乗車券に関しては、この特例が適用されます。
周回経路における短絡経路の乗車特例(基準規程第153条)
基準規程第153条には、周回経路における短絡経路を迂回乗車可能な特例が定められています。例えば、神田駅・御茶ノ水駅・秋葉原駅を結ぶ周回経路が対象区間の一つであり、一定の場合に短絡経路を乗車可能です。
ただし、当該規定は普通乗車券には適用されません。
神田駅・御茶ノ水駅・秋葉原駅間は、大都市近郊区間制度における東京近郊区間と規則第70条における太線区間のいずれにも含まれます。そのため、普通乗車券を使用する限りはこの特例によらず、任意の経路を取ることが可能です。
普通乗車券における経路特定区間に関する詳細については、以下の記事をぜひご一読ください。
定期乗車券
定期乗車券に関しては、他経路乗車に関する特例の一部のみが対象です。
経路特定区間(規則第69条)
規則第69条で定められた経路特定区間のうち、JR北海道およびJR東日本管内の5区間(第1号ないし第5号)については定期乗車券にも適用されます。
定期乗車券の運賃計算は営業キロがより短い指定された経路を用いて行い、発行された定期乗車券ではいずれの経路にも乗車可能です。2経路を結んだ環状経路の全体が事実上乗り放題となります。

例えば、赤羽駅・大宮駅間(もしくは両駅以遠の区間)の定期乗車券を購入した場合、運賃計算は京浜東北線川口駅・さいたま新都心駅経由で行われ、それらの駅名が券面にも表示されます。しかし、埼京線北赤羽駅・北与野駅経由も乗車可能で、埼京線内各駅で出場しても運賃を追加で支払う必要はありません。
JR西日本管内における経路特定区間(第6号ないし第9号)については、この特例は適用されません。
もしも大阪環状線においてこの特例が適用された場合、乗車区間に大阪駅・天王寺駅間を含むと大阪環状線全線が乗り放題となってしまうため、特例適用は合理的ではないでしょう。
東京附近の経路特定区間(規則第70条)
規則第70条に定められた東京附近の特定区間については、定期乗車券に関しては対象外です。太線区間を通過する場合であっても、乗車経路を決めてから定期乗車券を購入します。
選択乗車(規則第157条)
規則第157条による選択乗車特例について、定期乗車券は対象外です。経路を一方に決めてから、定期乗車券を購入します。
また、大都市近郊区間制度に関しても、定期乗車券は対象外です。定期乗車券に記載された乗車経路以外を利用することはできません。
周回経路における短絡経路の乗車特例(基準規程第153条)
基準規程第153条で定められたこの特例は、定期乗車券が対象です。
乗車経路が特定された定期乗車券であっても、混雑緩和やユーザーへの便宜を図るために他経路の迂回乗車を認めようというのが趣旨であると思われます。
例えば、御茶ノ水駅・神田駅間について定期乗車券上の経路が秋葉原駅経由であった場合、短絡経路である中央本線に乗車できます。
一方、東京都心部における上野東京ライン・湘南新宿ライン、および仙石線・仙石東北ラインについては短絡経路の選択ではなく、代替経路の選択という性格を持ちます。
区間外乗車に関する特例
乗車券の券面に記載された区間以外を乗車できることを「区間外乗車」と言い、一定の事由がある場合に適用されます。
基本的には普通乗車券に適用される特例ですが、一部定期乗車券にも適用される場合があります。乗車券に記載された区間外での途中下車はできません。
普通乗車券
区間外乗車特例の対象は、基本的には普通乗車券に限定されます。
特定の分岐区間に対する区間外乗車特例(規則第160条の2)
規則第160条の2では、一方の経路上にホームがなく列車が停車しないパターンが規定されており、運賃計算に含めることなく至近の停車駅までの区間外乗車が可能です。
本来乗車しなくていい区間の運賃をユーザーに負担させるのは酷というのが、この特例が設定された背景です。

第1号において、普通乗車券については、日暮里駅・東京駅間が区間外乗車の対象です。
分岐駅通過列車に対する区間外乗車特例(規則第160条の4)
規則第160条の4においては、一方の列車が通過するために分岐駅で乗り継ぎできない場合、至近の停車駅まで区間外乗車が認められています。
規則第160条の2と同様、本来乗車しなくてよい区間の運賃をユーザーに負担させないのがこの特例の趣旨です。
定期乗車券
定期乗車券に関しては原則的に区間外乗車特例の対象外ですが、例外的に適用される区間があります。
特定の分岐区間に対する区間外乗車特例(規則第160条の2)
規則第160条の2において定められた区間外乗車特例に関しては、定期乗車券も対象です。線路や駅の配置といった物理的な制約に基づく特例であるため、普通乗車券と定期乗車券で取り扱いを区別しないものと考えられます。
ただし、第1号では、普通乗車券と通勤・通学定期乗車券とでは区間外乗車できる区間が異なります。
- 普通乗車券:日暮里駅・東京駅間
- 定期乗車券:日暮里駅・上野駅間
なお、グリーン定期券については、第1号および第2号の区間外乗車特例の対象外である点に注意してください(2区間定期券の購入が必要)。
分岐駅通過列車に対する区間外乗車特例(規則第160条の4)
規則第160条の4の規定は、普通乗車券のみに適用されます。定期乗車券については、特例の対象外です。
分岐駅を通過するのは特急列車が中心であるため、普通列車の利用が前提である定期乗車券にはこの特例を適用しないものと思われます。

最後に、乗車変更や払いもどしに関する取り扱いについて見ていきましょう!
乗車変更・払いもどし
乗車変更や払いもどしについても、普通乗車券と定期乗車券では取り扱いが異なります。普通乗車券と定期乗車券の差が最も顕著に現れるのが、乗車変更および払いもどしの取り扱いです。
普通乗車券
普通乗車券に関しては、乗車変更、払いもどしともに柔軟な運用が行われています。
乗車変更
使用開始前の場合、乗車券類変更として全く異なる区間の普通乗車券に変更が可能です。その場合、手数料は特にかかりません。
使用開始後の乗車変更(乗り越しなど)に関しては区間変更等の取り扱いになり、原乗車券の営業キロによって計算方法が定められています。
払いもどし
使用開始前の普通乗車券については、発売金額から払戻手数料1枚につき220円を差し引いた金額を払いもどします。
使用開始後の場合、未使用区間が100kmを超える場合に限ってその分の払いもどしを受けられますが、払戻手数料が1枚につき220円かかります。
定期乗車券
定期乗車券に関しては、乗車変更や払いもどしの取り扱いが非常に限定的です。
乗車変更
定期乗車券に関しては、乗車変更の取り扱いは一切行われません。万が一区間を変更したい場合、古い区間の定期乗車券を払いもどし、新しい区間の定期乗車券を買い直します(この時の古い定期券の払戻額の計算方法は、通常の払戻額の計算方法とは異なります)。
払いもどし
使用開始日の前日までに払いもどしを行った場合、当該定期乗車券の発売額から払戻手数料220円を差し引き、払いもどし額を算出します。
使用開始日が過ぎてから払いもどしを行う場合、使用済期間を1か月単位で計算し、残余の金額を払いもどします(1か月定期や残存期間が1か月を切ったものは払いもどしの対象外です)。
まとめ

1回限り乗車できる普通乗車券と有効期間内で何回でも乗車できる定期乗車券では、発売条件や効力に大きな差異が見られます。
同じ区間を頻繁に利用する場合、1回あたりの単価が低廉な定期乗車券を購入すると大変おトクです。
普通乗車券には発売可能な距離に制限がありませんが、定期乗車券に関しては原則的に100km以内です。
特急列車やグリーン車の利用については、特段制限がない普通乗車券に対し、定期乗車券では規則上利用が禁止されています。ただし、実際の運用においては、定期乗車券ユーザーにも大半の列車で利用が解禁されています。
他経路乗車の特例は、基本的には普通乗車券に適用されるものです。しかし、規則第69条の経路特定区間のうち一部の区間については定期乗車券にも適用されます。
区間外乗車の特例は、基本的には普通乗車券のためのものです。ただし、駅やホームの有無といった物理的な制約により設定された特定の分岐区間に対する区間外乗車特例については、定期乗車券も対象です。
定期乗車券では、乗車変更や払いもどしに制限があるので注意しましょう。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程
● JR旅客営業制度のQ&A(自由国民社)2017.5
当記事の改訂履歴
2025年12月17日:当サイト初稿





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