大阪・京都間を結ぶ阪急京都線・京阪本線・JR京都線は、互いに火花を散らしています。所要時間や運賃ばかりではなく、最近では乗り心地の良さも競い合うようになりました。
そこで3社が導入したのは、指定席制の有料座席サービスです。
- 阪急「プライベース(PRiVACE)」
- 京阪「プレミアムカー」
- JR「新快速Aシート」
リクライニングシートに必ず座れることをウリにして、快適さと利便性を各社ともアピールしていますが、果たしてそれは本物でしょうか。
実際に乗車してみるといずれも個性的で、快適さに満足できる列車から窮屈に感じる列車までさまざまです。
追加料金を払って乗る以上、がっかりしたくないですよね。一体、どの列車を選べばよいのでしょうか。

JR「新快速Aシート」については現在、車内で指定席券を購入できません。「気軽に乗ってください」という阪急や京阪と違って「乗りたいならきちんときっぷを用意して」といった敷居の高さをどうしても感じてしまいます。
この記事では、阪急「プライベース(PRiVACE)」・京阪「プレミアムカー」・JR「新快速Aシート」について、きっぷの買いやすさや乗り心地を忖度なしに比較します。
大阪・京都間の列車選びに失敗したくないと思っている方にとって、当記事が参考になれば幸いです。
- 安さと快適性が最もバランスよく両立しているのは阪急「プライベース」であること
- 阪急と京阪は事前に座席指定券を買えなくても車内で料金を支払って乗車できること
- JR「新快速Aシート」の指定席券の値段は、購入箇所によって異なること
大阪・京都間をいかに楽に移動するか~有料座席をうまく使いこなす~

まず、大阪と京都間を結ぶ鉄道の各路線に快適さをウリとする有料座席サービスがいかにして導入されたのか、その背景を考えていきましょう。
大阪・京都間を結ぶ鉄道における競合の産物
大阪・京都間を結ぶ阪急京都線・京阪本線・JR京都線は互いにしのぎを削っていて、所要時間の短さ・運賃の安さ・車両の快適さを常に競っています。
従来は所要時間や運賃といったタイパやコスパが評価されがちでしたが、最近はいかに楽に移動できるかが問われるようになりました。
混雑しがちな大阪・京都間の普通・快速列車においては必ずしも座れるとは限りません。移動するだけで疲れてしまうと、お出かけの質が下がってしまいます。
そこで、阪急・京阪・JR西日本が導入したのが、指定席制の有料座席です。運賃以外に料金が必要なものの、座り心地がよい座席に必ず座れるのをウリとしてサービスを展開しています。
各社が導入した有料座席サービス
各社が導入したサービスは、非常に個性的です。それぞれの導入背景を、導入時期の順にご説明します。
京阪「プレミアムカー」
京阪本線には、2017年8月から8000系車両に「プレミアムカー」が導入されました。それに続き、2021年1月より3000系車両にも導入されています。線形が悪く、所要時間が長めという弱みを抱えている京阪電気鉄道にとって、勝負できるのは座席の快適性というわけです。
JR西日本「新快速Aシート」
2019年、JR京都線(東海道本線)を走る一部の新快速には、JR西日本によって有料座席「新快速Aシート」が導入されました。ユーザーの着席ニーズに応え、既存の車両を改造してAシートに仕立てた形です。
阪急「プライベース(PRiVACE)」
2024年には阪急電鉄が有料座席サービスに参入し、「プライベース(PRiVACE)」が登場しました。「プライベース」という名称には、Private(プライベート)とPlace(場所)という意味が込められており、車内のインテリアには阪急らしさが出ています。
このようにして、大阪・京都間を結ぶ3路線に有料座席が出揃い、サービスの優劣が競われるようになりました。ユーザーとしては、自分に適したサービスをいかに要領よく利用し、快適に移動するかを追求したいものです。
阪急・京阪・JRの比較~手っ取り早く選ぶための前提知識~

自分にとってどの列車を選択すると安く快適に移動できるかを見極めるのは、とても大切なことです。
ここでは、各路線の位置関係や有料座席サービスの概要を前提知識としてご説明します。
各路線の位置関係
阪急京都線・京阪本線・JR京都線の位置関係は、下図の通りです。

大阪キタの大阪梅田駅(大阪市北区)と京都中心部の京都河原町駅(京都市下京区)をダイレクトに結ぶのが、阪急京都線です。
嵐山や嵯峨野の最寄りである嵐山駅(京都市右京区)へ列車で直接アクセスできるのも、阪急ならではの利点です。観光客にとっての利便性と日常生活面のニーズがうまく両立していると言えるでしょう。
淀屋橋駅(大阪市中央区)と出町柳駅(京都市左京区)を結ぶ京阪本線・鴨東線の大阪側の中心駅は京橋駅(大阪市城東区)で、大阪環状線と乗り継げます。京都東山に徒歩でアクセスできるのが京阪の強みで、東山観光なら京阪がよいでしょう。
JR京都線(東海道本線)は、京都駅(京都市下京区)と新大阪駅(大阪市淀川区)で新幹線に接続しています。大阪と京都の中心部へのアクセスが良くないものの、遠方からの旅行者にとって利用しやすいです。
このように、出発地と目的地の組み合わせによって適した路線が異なるので、うまく使い分けましょう。
各社の有料座席サービスの比較を簡単に
各社の有料座席サービスについて、主なスペックを下表にまとめてみました。
| 項目 | 阪急 | 京阪 | JR |
| 最短所要時間 | 約43分 | 約48分 | 約29分 |
| 運賃・料金 | 910円 | 1,050円 | 1,180円※ |
| 車内購入 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 座席 | 3列 | 3列 | 4列 |
| トイレ | なし | なし | あり |
| コンセント | あり | あり | あり |
| 快適性 | 包まれ感あり | 座席が広い | 相席だと窮屈 |
※ JRの運賃・料金は「e5489」でチケットレス券を購入した場合
端的に言えば、座席が広くて疲れないのは阪急および京阪、車内にトイレが設置されていて長旅でも安心なのがJRです。
安さを重視すれば阪急、早さを重視すればJRに軍配が上がります。
運賃・料金の総額や設備面の差もさることながら、座席指定券の買い方に大きな違いが見られます。
阪急「プライベース」の座席指定券(大人・小児500円)を購入できるのは基本的にネットのみであり、空席があれば予約なしでも乗ることが可能です(車内で現金・交通系ICカードによる決済可)。
京阪「プレミアムカー」のプレミアムカー券(大人・小児500円)は、ネットの他に駅でも購入できます。好きな座席を選びにくいものの、空席があれば車内でもプレミアムカー券の購入が可能です。
このように、阪急と京阪はきっぷの買い方がよくわからなくても気軽に乗車できます。どちらが総合的に優れているか断言できませんが、乗車区間や設備面の好みによって両者を使い分けるとよいでしょう。
それに対し、JR「新快速Aシート」に乗車するには、指定席券の事前購入が必須です。指定席券を購入する箇所によって値段が異なる上、車内では指定席券が発売されていません。
JRについては指定席券の買い方が難しい上、あらかじめ購入しなければならないという制約があり、敷居が高いです。
自分に適したサービスを見極めるには、車両の快適さといったハード面だけではなく、きっぷの買い方やサービスの分かりやすさといったソフト面にも目を向けましょう。

それでは、各列車の強みや弱みを、実際のきっぷや車内の写真を見ながら考えていきましょう!
阪急「プライベース(PRiVACE)」の強み・弱み

阪急京都線に「プライベース」が登場したのは2024年と、3社のサービスでは最後発です。ここでは、実際に座席を予約し、車内を探訪した様子をお伝えします。
ネットに特化した予約方法が採用
「プライベース」の座席指定券については、予約専用サイトでのオンライン購入か車内での購入に限定されています。
「プライベース」専用の予約サイトは、スマートフォンの他、PCからでも閲覧可能です。会員登録をしなくてもゲストとして空席状況を確認し、座席指定券を購入できます。そのため、ネット予約と言っても敷居はそれほど高くありません。

ゲスト購入する場合は、連絡用メールアドレス以外の個人情報の提供は不要です。

購入完了時にはメールが送信されてきて、必要があれば乗車時に提示できます。また、ゲスト購入であっても予約内容を表示可能で、その画面上で予約の変更・払いもどしおよび同一区間の再購入も可能です。
会員登録や画面遷移が複雑な予約サイトが多い中、この列車の予約サイトの作りは軽くて扱いやすいと感じました。
「プライベース」の良い点は、事前予約なしでも空席があれば飛び乗りできることです。その場合、アテンダントから座席指定券を購入する形ですが、事前購入と同額で座席指定もしてもらえます。
あらかじめ座席指定券を購入できなくてもペナルティがない点から、「お気軽にご利用ください」というメッセージが感じられます。
強いて弱みを挙げるとしたら、座席指定券を駅で購入できないことでしょうか。しかし、ユーザー目線では、駅であらかじめ購入しないと咎められるといった不安を感じないで済みます。
乗車時の車内の様子~休息に最適な落ち着いた車内~
サービスの名称が「プライベース」というだけあり、個室感が強く出ています。疲れた時に静かに移動したいといったシーンで価値が発揮されるのではないでしょうか。

車両の中央に出入口が1か所あり、アテンダントがデッキで案内業務を行っています。検札しつつ予約が済んでいないユーザーへの対応を行うという形です。

窓の形状が個窓であるため、景色を眺めづらい代わりにプライバシーが保たれています。

車内の配色は阪急らしいアースカラーでまとめられており、落ち着きを感じるデザインです。

座席には、電源コンセントが設置されています。

2人掛け座席にはパーティションが付いていて、プライバシーに配慮されています。

座席のバックシェルが大きいため、人が座っていてもその様子がよく分かりません。人目を気にすることなくくつろげ、平穏に移動できる設計です。
欠点をあえて挙げるのであれば、出入口が1か所だけであるため、乗降時に混雑することでしょうか。全体的に、不満を感じるような要素はありません。
京阪「プレミアムカー」の強み・弱み

京阪「プレミアムカー」は、3社の中では先発です。京都市南部および東山地区にまたがる寺社を訪問するのに便利であるため、観光色が強いです。したがって、地元ユーザーのみならず、多くの観光客が利用することを前提に設計されていると言えます。
実際に3000系電車と8000系電車のプレミアムカーに乗車した際の様子から、この列車の強みと弱みをお話しします。
購入ハードルが低い京阪プレミアムカー券
京阪プレミアムカーのプレミアムカー券に関しては、発売方法の間口が広いのが強みです。会員登録を済ませればネットで空席照会や予約購入が可能な一方、駅や車内でも発売しており、ユーザーを選びません。
プレミアムカー券を買うのが容易であるため、この点で利用をためらうことはないでしょう。

プレミアムカー券をプレミアムカーの停車駅で購入する場合、キャッシュレス決済であれば券売機の利用が可能で、現金決済であれば駅窓口を利用する形です。

これは、駅窓口で現金購入したプレミアムカー券です。窓口でも席番を希望して売ってもらえます。

券売機では、直近5列車のプレミアムカー券の購入が可能です。クレジットカードおよび電子マネーのタッチ決済およびQRコード決済に対応しています。

これは、券売機でクレジットカード決済にて購入したプレミアムカー券です。様式は、窓口で発行されたものと同じです。
プレミアムカーの予約に関する弱みは、会員登録しないと予約サイト上で空席照会さえできないことです。事前に空席状況を知りたい場合、会員登録を行うか駅に行くかの二択を迫られます。
一方、空席があれば車内でも座席指定券を購入でき、座席指定もしてもらえます。追加料金もないため、予約なしで乗っても咎められることはありません。
乗車時の車内の様子~華やかさがきらめく~
特急列車に設定されているプレミアムカーは、8000系車両には1両、3000系車両には2両が連結されています。8000系車両が充当される場合、曜日や時間帯によっては込み合うことが考えられます。

プレミアムカーの各号車には出入口が1か所あり、アテンダントが検札や座席指定券の発売といった業務にあたっています。

3000系車両には広窓が採用されていて、窓割が座席と一致しています。8000系車両に関しては、窓枠と座席間隔が一致していません。慎重に座席を選ばないとハズレ席を引いてしまうので、公式サイトのレイアウト図をよくチェックしましょう(11番以降はハズレ)。

車内は一般的なレイアウトで、2席+1席の3列シートです。かなりゆったりと過ごせます。

2人掛け座席には特にパーティションは設置されておらず、プライバシーを守るという感じではありません。

座席背面は明るい白色が基調で、大型テーブルやドリンクホルダーが設置されています。

各座席のひじ掛けには、電源コンセントが設置されています。
観光性が強い路線の有料座席ということで、車内の雰囲気に華やぎがある印象です。観光客が多く乗っている場合、やや騒がしいことがあるかもしれません。全体的に、不満を強く感じる点は見られません。
JR京都線「新快速Aシート」の強み・弱み

2019年、一部の新快速列車において有料座席「Aシート」のサービスが始まりました。現在は、野洲駅・姫路駅間で1日3往復6本が運行されています(一部網干駅発着・土休日は4往復)。
阪急や京阪の有料座席と異なり、すべての新快速列車に有料座席Aシートが連結されていないため、なかなか利用の機会が得られません。今後の増発に期待したいところです。
土曜日日中に野洲駅・大阪駅間を実際に乗車した体験から、Aシートの強みや課題を考えていきたいと思います。
予約方法や値段が分かりにくいAシート
「新快速Aシート」に関しては、運行本数の少なさに加え、あらかじめ指定席券を購入しなければならない点が利用上の大きなハードルです。
指定席券は駅およびネット予約サービス「e5489」で発売されていますが、購入箇所によって指定席券の値段が異なる点に注意が必要です。
- 指定席券(駅で発売):大人840円・小児420円
- チケットレス指定席券(e5489で発売):大人・小児600円
「e5489」を利用してAシートの指定席券を購入すると、駅で購入するよりも安く指定席券を購入できます。ただし、「e5489」の操作が阪急や京阪の予約サイトと比べて複雑で、使いこなしにくい点は否めません。
サービス開始時と違い、現在は車内で指定席券を購入するのは不可能です。乗りたい時に必ずしも乗れるとは限らない点に留意しましょう。

スマートフォン上に提示用画面を表示しておけば、紙のきっぷを受け取る必要はありませんが、今回紙のきっぷを受け取ってみました。

これが、「e5489」限定Aシート指定席券の現物です。なぜか、本券と指のみ券の2枚に分けて発券されます。

指のみ券には、列車名と席番が記載されています。現物を手元に残したい場合、乗車前に紙のきっぷを受け取っておくとよいでしょう。
このように、指定席券を手にするまでの過程そのものが弱みと言えます。
乗車時の車内の様子~近寄りがたい雰囲気満載~
新快速の9号車にAシートが連結されて、出入口が2か所あります。

車内に入ろうとしたら、このようなのれんがあり「指定席券を持っていない人はのれんをくぐるな」と制止するではないですか。のれんをくぐった時、結界を破るような感覚がありました。

トイレ側に近い出入口にものれんがありますが、指定席券がなくても有料エリアの外側のデッキにいることは可能です。

車内のレイアウトは在来線特急列車と同じつくりで、4列シートです。相席になった時には、有料であるにもかかわらず窮屈な思いをします。この時当たった車両は、窓枠と座席間隔が一致した新型でした(改造車の場合ハズレ席あり)。

座席背面には、大型テーブルが設置されています。

また、座席のひじ掛けには、電源コンセントが設置されています。
阪急や京阪と異なり、Aシートには担当の車掌が添乗しており、指定席券を持っていない人を追い出していました。車内で指定席券を発売していないため、車掌はきっぷをチェックしているだけでした。
このように、Aシートには「この先立ち入り禁止」という意味合いの表示が多く、車掌が見張っているので近寄りがたい雰囲気が漂っていたのがいただけません。
きっぷを購入する段階から実際に乗車するまで、あまり強みが見られず、粗ばかりが見えてしまいました。
まとめ ~利用シーンに合った列車を選ぼう~

大阪・京都間を結ぶ阪急京都線・京阪本線・JR京都線にはいずれも有料座席が連結されており、料金を支払えばリクライニングシートに必ず座れます。
運賃・料金の安さで選ぶなら阪急「プライベース」、所要時間の短さなら、システム面の不自由さに目を瞑ればJR「新快速Aシート」で決まりです。京都東山に直接アクセスしたいなら、京阪「プレミアムカー」が便利です。
阪急「プライベース」の特徴は、サービスの名称通りプライバシーが確保されていることで、静かに移動したい場合に向いています。
京阪「プレミアムカー」は車内が開放的で、座席が広いです。観光性の強い列車であるため、華やかな雰囲気が感じられます。
JR「新快速Aシート」は早く機能的です。新幹線の各駅に接続していて、車内にトイレが設置されているため、遠距離の移動向けです。
阪急「プライベース」と京阪「プレミアムカー」は事前に座席指定券を購入できなくても、車内で料金を支払えば乗車できます。一方、JR「新快速Aシート」は事前に指定席券を購入しなければ乗車できません。
阪急と京阪は「お気軽に乗車ください」という姿勢なのに対し、JRはきっぷを持っていないユーザーを排除するような姿勢が見られるのが残念なことです。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 阪急電鉄 PRiVACE(プライベース)公式サイト 2026.02閲覧
● 京阪電気鉄道 プレミアムカー公式サイト 2026.02閲覧
● JR西日本ニュースリリース「2019年春新快速に有料座席サービス「Aシート」を導入します」2018.10.24付
● 阪急電鉄ニュースリリース「当社初の座席指定サービスの名称を『PRiVACE(プライベース)』に決定!」2023.11.21付
● 阪急電鉄ニュースリリース「当社初の座席指定サービス『PRiVACE(プライベース)』 2024 年7 月デビュー!」2024.02.26付
● 京阪電気鉄道ニュースリリース「座席指定の特急車両「プレミアムカー」平成29年8月20日(日)サービス開始!」2017.3.30付
● 京阪電気鉄道ニュースリリース「座席指定特別車両「プレミアムカー」がますます便利に2021 年1月より「プレミアムカー」サービスを拡大します」2020.5.12付
当記事の改訂履歴
2026年02月05日:当サイト初稿


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