JR西日本が展開するネット予約サービス「e5489」を利用すれば、自宅やオフィスにいながら新幹線や在来線特急列車のきっぷを予約購入できます。リニューアルによって、乗車券単独での購入も可能になりました。
東海・北陸エリア以西の西日本を走る列車のきっぷを購入する場合、e5489が適しています。e5489で制限なく購入と受け取りが可能なきっぷは、以下の通りです。
- JR西日本・四国・九州管内の所定運賃・料金のきっぷ
- JR西日本・四国管内のネット限定割引きっぷ
日をまたいで走る夜行列車が運行されていること、おトクなきっぷをエクスプレス予約(EX予約)と連携して発売することなどが、JR西日本管内における特殊な事情です。そのため、e5489には他のネット予約サービスにはない特徴が見られます。

他のネット予約システムに比べ、機能面では多くの強みがありますが、画面の見た目や操作性が劣ります。操作方法が分かりにくいため、使いこなすには慣れが必要でしょう。
この記事では、JR西日本のネット予約サービス「e5489」の特性や利用対象エリア、2023年2月に行われたリニューアルで強化された機能、e5489の強みや弱みをご説明します。どのような場面でe5489を利用するべきかを判断する際に、当記事をヒントにしていただければ幸いです。
- e5489の利用登録を行うと自動的にWESTERポイントやおとなびの会員になること
- 東海道新幹線区間のシートマップが表示され、席番を自分で選択可能なこと
- ユーザーインターフェース(UI)が貧弱で、画面遷移や操作性に難があること
ネット限定の割引きっぷの購入に威力を発揮する「e5489」

各社が展開するネット予約サービスの中でも、特にJR西日本・四国管内を走る列車の予約・購入に最適化されているのが、JR西日本が運営する「e5489」です。正式名称は「5489(ごよやく)サービス」ですが、通常は「e5489(いーごよやく)」と略して呼ばれています。
以下のようなきっぷの予約購入を行う場合、e5489の出番です。
JR西日本管内を走る夜行列車のきっぷの予約購入
JR西日本エリアには、日をまたいで走る特殊な在来線特急列車(夜行列車)があります。
- サンライズ瀬戸・出雲
- WEST EXPRESS銀河
いずれも人気が高く、予約が困難な列車です。
これらの列車の予約購入を駅や旅行会社以外で行えるのは、ネット予約サービスのうちe5489のみです。各列車の公式ページに設置された専用予約フォームからe5489に遷移して、予約購入を行います(e5489を利用しても必ずしも予約が取れるわけではないことに留意してください)。
各種ネット限定割引きっぷの予約購入
また、JR西日本・四国管内を走る山陽新幹線や在来線特急列車のネット限定割引きっぷを購入できるのが、e5489の強みです。
- WEB早特
- チケットレス特急券
- 「おとなび」会員割引きっぷ
いずれのきっぷも駅では購入できず、e5489を利用して購入します。知っている人だけが得をする側面が強いものの、これらのきっぷの値段の安さを知ってしまうと、駅での購入には決して戻れません。
在来線特急列車のチケットレス特急券に関しては、以下の記事をぜひご一読ください。
EX予約と連携して購入可能なおトクなきっぷの予約購入
エクスプレス予約・スマートEX(EX予約)を利用して東海道・山陽新幹線を利用するユーザーに限定発売されるおトクなきっぷの購入が、「EX旅先予約」とe5489の連携によって可能になっています。
- 乗継特急券
- 各種フリーきっぷ
新幹線から在来線特急列車に乗り継ぐユーザー向けにかつて設定されていた「乗継割引」は、この「乗継特急券」として形を変えました。誰でも購入できた乗継割引とは異なり、EX予約会員限定のきっぷとなった点に注意が必要です。
そのため、これらのきっぷの購入には複雑な操作を要するようになったことを覚えておきたいです。知る人ぞ知るおトクなきっぷであるため、購入方法をしっかり押さえましょう(別記事としてそのうち投稿したいと思っています)。
これまでご紹介したきっぷを、駅や他のネット予約サービスで購入することはできません。言い換えれば、きっぷを安く買うにはe5489を使いこなす必要があるということです。
「e5489」のリニューアルによって機能が強化

従来は、新幹線や在来線特急列車のきっぷの予約購入に特化したサービスとして、e5489が利用されてきました。
しかし、従来の操作画面は方面別に予約メニューやボタンが異なり、決して使い勝手の良いものではありませんでした。また、普通乗車券のみを単独で購入する機能が長らく実装されておらず、多くのユーザーにとって不自由でした。
リニューアルによって追加された機能
2023年2月にe5489のリニューアルが行われ、以下の点で機能が強化されました。
- 会員登録やログインなしにきっぷを予約購入できるようになったこと
- 利用時間帯が深夜に拡大されたこと
- 予約履歴から以前乗車した列車の予約が簡単に行えること
- 特急券を伴わずに普通乗車券のみの購入が可能になったこと
- e5489からきっぷを購入するとWESTERポイントが貯まるようになったこと
- WESTERポイント特典きっぷの予約購入が行えるようになったこと
このように、改修された内容は、主に内部的な機能強化が中心です。トップページのレイアウトは大幅に変更されたものの、ユーザーインターフェース(UI)が全面的に一新されたわけではありません。

この中で注目すべきなのが、普通乗車券の単独での購入機能です。現在は駅窓口やみどりの券売機(指定席券売機)でも各駅発の普通乗車券が購入可能ですが、以前は他駅発の乗車券の発売に制限がありました。その制限を、e5489でクリアできたのです。
特急券を伴わずに普通乗車券だけを購入できる便利な機能について、以下の記事に詳しくまとめてあります。ぜひご一読ください。
リニューアルの背景
e5489がリニューアルされた背景を、ここで考えてみましょう。
JR西日本管内では、駅の無人化や「みどりの窓口」の閉鎖が急速に進んでいます。そのため、ユーザー自身がネットで予約購入を行うよう求められています。当然、ネット予約サービスが多様なニーズに対応しなければならないわけです。
また、山陽新幹線の割引きっぷや在来線特急列車のチケットレス特急券といった企画券は、いずれもネット限定です。きっぷの購入がネットにますます依存するようになったため、多くの種類のきっぷを取り扱う必要があります。
JR西日本が積極展開するWESTERポイントへの対応強化がリニューアルにつながったことは、言うまでもありません。
往復・連続乗車券の発売終了によって他駅発の片道乗車券を発売せざるを得ないことで、ネットで乗車券のみを発売するニーズが発生しました。
障害者割引が適用されたきっぷをネットで購入できることを政府から要請されたことも、e5489をはじめとしたネット予約システムの機能強化につながっています。

e5489の強みや弱みを深掘りする前に、e5489の対象エリアを押さえておきたいと思います。知っている方は、この章を読み飛ばしていただいても問題ありません。
「e5489」の取扱エリア(発売エリア・受取エリア)
「e5489」は、JR西日本が運営するサービスであるため、日本全国のJRきっぷを取り扱っているわけではありません。
発売対象エリア
きっぷの予約購入が可能なエリアは、以下のように限定されています。
「JRおでかけネット」ウェブサイトより引用
上図に記載されていない東北・北海道エリアは、e5489の取扱エリアの対象外です。
とはいえ、取扱エリアにはJR西日本・JR四国・JR九州管内全域および、JR東海管内全域およびJR東日本関東甲信越エリアも含まれ、非常に広範囲です。
新幹線についても、那須塩原駅以北の東北・北海道エリアを除く区間が予約購入の対象です。

取扱エリアと非取扱エリアの境界を、筆者が独自に詳しく図解にしました。
新潟地区の北限は新発田駅(新潟県新発田市)で、そこから延びる羽越本線、信越本線、上越線、両毛線、水戸線、常磐線が取扱エリアのボーダーラインです。栃木県内は黒磯駅(栃木県那須塩原市)まで、常磐線はいわき駅(福島県いわき市)までが取扱エリアに入ります。
紙のきっぷの受取対象エリア
e5489の取扱エリアは広範囲で多くの列車のきっぷを購入できますが、紙のきっぷの受け取りには注意が必要です。
e5489を使って購入したきっぷの受け取りは、以下の駅に限定されます。
所定運賃・料金のきっぷ
JR西日本・四国管内の駅窓口・みどりの券売機設置駅の他、JR九州の主な駅やJR東海・JR東日本管内の一部の駅での受け取りが可能です。
JR西日本・四国管内のおトクなきっぷ
JR西日本・四国管内の駅窓口・みどりの券売機設置駅に限定されます。
JR東海管内の駅での受け取りには、利用区間にJR東海を含むことなど多くの制約があるため、注意が必要です。
ネット予約サービスを利用して購入した紙のきっぷを受け取れる駅や受取の条件に関しては、以下の記事をぜひご一読ください。
このように、e5489では、日本全国のJRきっぷを購入したり受け取ったりすることができるわけではありません。JR西日本エリアのユーザーにとっては不便な点も多く、JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」との併用を考えたいところです。

それでは、e5489を利用する上での強みや弱みを、具体的に見ていきましょう!
「e5489」を利用する上での強み
e5489には、目立たないところで多くの強みがあります。e5489を活用することで、それらの強みを享受することが可能です。
利用登録をしなくてもゲスト利用が可能な点
リニューアルを経て、利用登録を行うことなくゲスト購入することが可能になっています。これは、JR他社のネット予約サービスにはない特長です。
利用登録すれば、購入履歴の閲覧や事前予約サービスといった機能をフルに活用できます。しかし、頻繁に利用しない場合には、わざわざ利用登録を行う必要がなくなりました。これで、従来からゲスト購入に対応していた近鉄特急と横並びになりました。

ゲスト購入するには、氏名(フルネーム)・電話番号・メールアドレスの入力が必須です。紙のきっぷを受け取る時にこれらの情報が必要になるため、忘れないようにしましょう。
利用登録すればWESTERポイントが貯まる点
JR西日本の目玉が、ポイントサービス「WESTERポイント」です。鉄道や物販の利用でポイントが貯まりますが、ポイントを充当しないと買えないきっぷがあることが、このポイントの特徴です。
e5489の会員登録を済ませれば自動的にWESTERポイントの会員となり、50歳以上であれば同時に「おとなび」会員にもなります。まずはゲスト利用で試してみて、継続的に使うならば利用登録してはいかがでしょうか。
利用登録すれば購入履歴や事前予約サービスの活用が可能な点
定期的に同じ列車に乗車することも考えられます。リピート利用の際は、e5489の会員登録をしておけば、購入履歴を参照して簡単に予約購入が可能です。

また、利用登録を済ませている場合に限り、事前予約サービスを利用できます。通常は乗車1か月前午前10時00分からの発売であるところ、乗車1か月7日前の午前5時30分からエントリーができるのです。

このサービスを利用することで、予約がとれるチャンスが多くなります。ただし、一部の列車は対象外で、席が取れることが確約されるわけではありません。
きっぷ代金の決済方法が多様な点
クレジットカード決済以外に、コンビニ・金融機関決済や「駅でお支払い」を選択することが可能です。従来に比べて決済手段が多様になったため、クレジットカードがなくてもe5489を利用可能になりました。

ただし、購入するきっぷによっては、決済手段としてクレジットカードやJ-WESTカードしか使えません。
チケットレス特急券やネット限定割引きっぷを購入可能な点
在来線特急列車のチケットレス特急券や「おとなび」会員用きっぷ、およびJ-WESTカード所持者専用のおトクなきっぷ(2026年3月に廃止される見込み)は、ネット限定商品としてe5489のみで発売されています。きっぷを安く購入するためには、e5489はもはや必須のツールです。
JR西日本が発売するチケットレス特急券の詳細については、以下の記事をご一読ください。
東海道新幹線のシートマップを表示可能な点
e5489の取扱エリア内に限られますが、東海道・山陽新幹線を含む多くの列車のシートマップを表示できます。

JR東日本のネット予約サービス「えきねっと」では不可能な東海道新幹線区間のシートマップを表示できる機能が、e5489の強みです。
乗車経路を細かく指定するのが比較的得意な点
JR西日本管内には山陽新幹線が走っており、長い区間で新幹線と在来線が並行しているのが特徴です。新幹線と在来線では運賃が異なることがあることから、乗車経路の指定が欠かせません。

そのような事情があり、e5489では経路の指定方法が他のネット予約サービスに比べて明瞭です。乗車区間および利用する列車の種別を3通り指定できるため、意図する通りの経路を表示することが比較的得意です。
乗車経路に新幹線を組み込む具体的な実例については、以下の記事をご一読ください。
「e5489」の弱み~克服すべき課題~
e5489の機能が多様で、強みが多い反面、弱みが存在することも事実です。e5489を利用しなければならない場面が多いことから、解決が望まれます。
「せっかく便利でおトクなきっぷがあるのに、どうやって操作すれば買えるのだろう」と、多くのユーザーが感じていることでしょう。操作の分かりにくさこそが、最大の課題です。
ここでは、e5489の弱みと言える点を取り上げ、筆者の提言として意見を表明したいと思います。
ユーザーインターフェース(UI)が貧弱な点
2023年2月のリニューアルではトップページのレイアウトが変更されましたが、デザインが一新されたほどではありませんでした。

以前から存在していたテキストリンク(文字をクリックするリンク)が解消されておらず、どのリンクを踏めばどの画面に移動できるか、非常に分かりにくいです。また、各ボタンの名称自体が分かりにくく、行いたいことができる操作画面になかなかたどり着けません。
消費者向けの製品を利用しているのではなく、業務用のシステムを操作している感覚があるのです。抜本的なデザイン(UI)の改良が求められます。
連絡きっぷの予約購入への対応が不十分な点
JR西日本管内の駅では、改札口を通ることなく他社線に乗り継げる場合が多くあります。そのようなケースを想定し、鉄道会社間では「連絡運輸」という取り決めによって連絡きっぷが発売されます。
しかし、e5489では、連絡運輸の取扱を行う他社線が非常に限定されています。また、連絡運輸の設定があっても駅名が入力不可能なことがあり、e5489では望む連絡きっぷを購入できません。
例えば、土佐くろしお鉄道やあいの風とやま鉄道にはJR線と密接な連絡運輸区間があるにもかかわらず、e5489では非対応です。
e5489のさらなる利用促進を図るためには、連絡きっぷの広範な取り扱いが避けて通れません。
まとめ

JR西日本が運営するネット予約サービス「e5489」は、東海・北陸地区以西のJR線を走る列車の予約購入を行うのに適しています。
寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」号など日をまたいで走る列車の予約購入や、エクスプレス予約(EX予約)と連携して発売するおトクなきっぷの購入には、e5489が欠かせません。
2023年2月に行われたe5489の大幅なリニューアルによって、機能が増強されました。利用登録なしでのゲスト購入機能の追加、利用登録を済ませた会員向けのWESTERポイントの付与、代金決済方法の多様化が、その主な点です。
JR西日本管内には新幹線と在来線が長い区間で並行しているため、新幹線関連の機能が強いです。東海道新幹線区間のシートマップ表示は、その一例と言えるでしょう。
しかし、連絡乗車券を購入できない場合があったり、操作性が良くないといった課題もあります。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● e5489トップメニュー(JR西日本)2025.8閲覧
● JRおでかけネット「e5489ご利用ガイド」(JR西日本)2025.8閲覧

当記事の改訂履歴
2025年8月04日:当サイト初稿
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