東京中心部を走るJR各線は、JR各社の運送約款「旅客営業規則」第70条における経路特定区間に指定されており、いわゆる「太線区間」と呼ばれています。この区間を通過するきっぷを持っている場合、一筆書きの経路となる限り任意の経路を組むことが可能です。
ところで、2026年3月に実施されたJR東日本の運賃改定に伴い、東京駅・熱海駅間が別線化されました。規則第70条の太線区間に関係するところでは、東京駅・品川駅間が別線扱いです。新幹線が太線区間から除外された一方、在来線は従来通り太線区間に含まれています。
ここで問題になるのが、新幹線東京駅・品川駅間が乗車経路に含まれる場合です。太線区間を通過する経路であっても、当該駅間が含まれるか否かによって、運賃計算上の最短経路や迂回乗車の範囲に差が生じます。それに対応するため、新条文(規則第70条第3項)が設けられました。
また、京葉線内各駅を発着する経路において新幹線東京駅・品川駅間を通過し、かつ山手線品川駅・代々木駅間を通過して各方面に向かう場合、運賃・料金計算に支障が生じます。そのため、例外としての新条文(規則第70条第4項)が追加されました。

東海道新幹線と在来線の乗り継ぎを行う駅が品川駅か東京駅かによって、運賃計算の結果や迂回乗車可能な範囲に差が生じます。旅行開始後に臨機応変に接続駅を変更することができなくなったため、よく考えてからきっぷを購入したいものです。
この記事では、旅客営業規則第70条に規定された太線区間を通過し、かつ乗車区間に新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合の取り扱いをご説明し、当該条文が適用されたきっぷの実物をご紹介します。
東京駅・熱海駅間の別線扱いと70条太線区間が重複適用される応用的な事例に該当するため、第70条に関する基本事項を理解できていることが当記事を読み進めるための前提となることをお断りします。
- 東京駅・熱海駅間の別線扱いにより、太線区間を通過する際の取り扱いに影響があること
- 東京駅で接続する場合太線区間の範囲が変わり、最短経路の取り方が従来とは異なること
- 新幹線東京駅・品川駅間を利用する場合、山手線品川駅・代々木駅間に乗車できないこと
太線区間と新幹線東京駅・品川駅間の通過が関係する普通乗車券
はじめに、70条太線区間に指定された東京中心部のJR線を通過し、かつ新幹線東京駅・品川駅間を通過する普通乗車券の数々を見ながら、当記事が扱うきっぷがどのようなものであるかを把握しましょう。
それぞれのきっぷの運賃計算方や効力については記事の後半で詳しく解説するので、ここではざっと読み飛ばしていただいても差し支えありません。
三島駅・吉祥寺駅間の普通乗車券

東海道本線三島駅(静岡県三島市)から中央本線吉祥寺駅(東京都武蔵野市)ゆき普通乗車券は、東京駅・熱海駅間の別線区間および70条太線区間を通過する普通乗車券の典型的な事例です。最短経路として考えられる3例を図にまとめました。

各経路のきっぷの実物と経由欄の表示は、以下の通りです。
全区間在来線に乗車

経由:東海道・中央東
JR東日本区間である熱海駅・吉祥寺駅間に対して加算額を適用すると、普通運賃は2,420円です。なお、太線区間が始まる品川駅から新宿駅までの区間に対しては、最短経路の営業キロを用いて運賃計算を行います。
品川駅まで新幹線に乗車

経由:東海道・小田原・新幹線・品川・中央東
JR東日本区間である熱海駅・小田原駅間および品川駅・吉祥寺駅間に対して加算額を適用すると、普通運賃は2,350円です。前例と同様に、最短経路の営業キロを用いて運賃計算を行います。
東京駅まで新幹線に乗車

経由:東海道・小田原・新幹線・東京・中央東
JR東日本区間である熱海駅・小田原駅間および品川駅・吉祥寺駅間に対して加算額を適用すると、普通運賃は2,680円です。太線区間に入る東京駅から太線区間を出る新宿駅までの区間が最短経路となることに留意してください。
東京駅・熱海駅間が別線化されるまでは、いずれの経路を取っても運賃が同額でした。それだけに、乗車経路によって運賃計算経路や加算額の適用方が異なるようになったのは、関係者にとって大きな負担です。
千葉みなと駅・千葉駅間の普通乗車券

京葉線千葉みなと駅(千葉市中央区)から総武本線千葉駅(千葉市中央区)ゆき普通乗車券は、運賃制度の変更によって新たに成立するようになったかなり変わり種の事例です。この事例においても、乗車経路に新幹線東京駅・品川駅間と70条太線区間が含まれます。

この経路のきっぷの実物と経由欄の表示は、以下の通りです。

経由:京葉・東京・新幹線・品川・中央東・東北・総武
品川駅から太線区間に入り、錦糸町駅で太線区間を抜ける経路であり、京葉線内発着で新幹線東京駅・品川駅間を通過かつ太線区間を通過します。これが規則第70条第4項に該当し、例外的に乗車経路通りに運賃計算を行います。
東京駅・熱海駅間における乗車経路によって運賃額に差が生じるようになったことや、太線区間の通過に対して最短経路を適用するという原則に例外が生じるようになったことが、非常に興味深いところです。

なぜこのようなきっぷが見られるようになったのか、ルール面を探っていきましょう!
太線区間における運賃計算方および迂回乗車を理解するための基本ルール

東京駅・熱海駅間の新在別線区間を通過する場合の運賃計算方や70条太線区間を通過する場合の運賃計算方を理解するため、運賃計算の基本原則をご説明した上で、規則第70条および第159条の原則について解説を進めていきます。
運賃計算の大原則(規則第67条・第68条)
運賃および料金を計算する上での原則は、大きく分けて以下の4つです。旅客営業規則第67条および第68条の規定を分解する形でご説明します。
乗車経路・発着の順序によって計算
JR線の運賃・料金は、実際に乗車する経路の営業キロ・擬制キロに基づいて計算するのが大原則です。特例が適用される場合を除き、運賃・料金計算に用いた経路以外は乗車できません。
したがって、発駅と着駅が同じであっても複数の経路を組むことが可能であり、経路によって運賃・料金額が異なる結果となります。いわゆる一筆書ききっぷは、この原則を応用したものです。
同一方向に連続する場合のみ通算
運賃・料金計算の原則は、発駅から着駅まで同じ方向を前進することが大前提です。折り返したりすでに通った経路に戻ることがない限り、営業キロ・擬制キロを通算します。
旅程を組む際、訪問する駅の順序を同じ方向に進むように調整すれば、きっぷの枚数を少なくすることが可能です。
環状線一周となる場合環状線一周となる駅で打ち切り
たとえ同一方向に進んだとしても、乗車経路によってはすでに通った線路に戻ることや、発駅に戻ることがありえます。その場合、発駅や経由駅までの経路が環状経路となり、その経路を一周する形です。このような状態を規則上「環状線一周」と言います。
乗車経路が環状線一周となる場合、環状線一周となる駅(すでに通った駅)で運賃・料金計算を打ち切り、その後の乗車経路に対しては別に計算を行います。
復乗となる場合折り返す駅で計算を打ち切り
すでに通った経路を後戻りし、旅行の方向が変わることを「複乗」と言います。乗車経路が復乗となる場合、折り返す駅で運賃・料金計算を打ち切ります。言い換えると、乗車する方向別に運賃・料金計算を行う形です。
普通乗車券の発売(規則第26条)
以上の大原則に従い、連続する1区間ごとに運賃計算を行い、区間ごとに1枚の普通乗車券を発売します。環状線一周や復乗に該当し、運賃計算を途中で打ち切る場合、打ち切る駅の前後の区間に対してそれぞれ別のきっぷを発売することになります。
乗車経路に応じたきっぷを1枚にまとめるには規則性があり、どこまでも1枚のきっぷで旅行できるわけではないことを覚えておきましょう。
経路特定区間における運賃計算方と迂回乗車の原則(規則第70条・第159条)
東京中心部における経路特定区間に関する規定である旅客営業規則第70条および第159条について、ここでは条文別に整理しましょう。
太線区間の定義・運賃計算方(規則第70条第1項)
旅客営業規則第70条第1項には、東京中心部における経路特定区間が定義されています。条文中、該当区間が太線で表示されているため、「太線区間」と呼ばれています。具体的には下図の通りであり、概ね東京駅・品川駅・新宿駅・赤羽駅・錦糸町駅を結んだ範囲です。

東海道新幹線東京駅・品川駅間が太線区間に含まれないことを押さえるのが、当記事を理解する上でのカギです。
この太線区間を通過する場合、太線区間への入口駅と出口駅を結ぶ最短経路の営業キロを適用して運賃・料金を算出します。その際、乗車経路は指定しないことになっており、きっぷにも太線区間内の乗車経路は表示されません。
太線区間通過時の迂回乗車(第159条第1項)
第159条第1項では、太線区間を通過する場合の迂回乗車について規定されています。
その上で、太線区間内では後戻りしない限り一筆書きとなる経路を迂回乗車(ユーザーが任意の経路を選択)できます。もともと途中下車の対象となっているきっぷであれば、運賃計算上の最短経路上でなくても、迂回経路上での途中下車が可能です。
出札業務の簡素化とユーザーの利便性向上の両立が可能な制度と言えるでしょう。
経路特定区間に関する基本的な知識について、以下の記事でご説明しています。ぜひご一読ください。

東京駅・熱海駅間の新在別線化について
冒頭で申し上げた通り、2026年3月にJR東日本管内の運賃改定が実施されたのに伴い、東海道新幹線と東海道本線(在来線)が別の路線として扱われることになりました。
従来、東海道新幹線と東海道本線(在来線)においては、一体的に運営が行われてきました。東京駅・熱海駅間を含む乗車券を買えば、券面に表示された経路にかかわらず、新幹線と在来線をユーザーが臨機応変に選択することが可能でした。
ところが、運賃改定によって両者の運賃水準に差が生じることになったため、実効性を確保するために別線扱いされることになったわけです。
これまでとは異なり、東京駅・熱海駅間を利用する場合には、あらかじめどちらの経路を進むか指定しなければなりません。
東京駅・熱海駅間の新在別線化による運賃計算の影響について、以下の記事に詳しくまとめました。ぜひご一読ください。


前提知識が整理できたところで、本題である新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合の運賃計算方や迂回乗車の取扱方について見ていきましょう!
東海道新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合の運賃計算方・迂回乗車の取扱方

乗車区間に東海道新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合、東京駅で在来線に接続する場合と品川駅で在来線に接続する場合では、取り扱いが異なるようになりました。
ここでは、東海道新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合の運賃計算方・迂回乗車の取扱方に関する原則と例外を、条文から見ていきましょう。
運賃計算方・迂回乗車に関する原則(規則第70条第3項・第159条第3項)
東京駅・品川駅間が新在別線となったため、太線区間の取り扱いに大きな影響が及びました。そこで、経路中新幹線東京駅・品川駅間が含まれる場合の運賃計算方や迂回乗車の取り扱いに関する新たな規定が追加されています。
第70条太線区間の全貌を理解する上での要となる条文なので、しっかりと押さえましょう。
運賃計算方(規則第70条第3項)
運賃計算方にかかる規則第70条第3項の条文は、次の通りです。
東海道本線(新幹線)中東京・品川間を経由し、かつ、第1項に掲げる図の太線区間を通過して、品川以遠(新横浜、大井町又は西大井方面)の各駅と大久保以遠(東中野方面)、北赤羽以遠(浮間舟渡方面)、川口以遠(西川口方面)、三河島以遠(南千住方面)又は亀戸以遠(平井方面)の各駅との相互間を乗車する場合の普通旅客運賃・料金は、東京・新宿間、東京・赤羽間、東京・日暮里間又は東京・錦糸町間の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線区間内は、経路の指定を行わない。
この条文に書かれた乗車区間を、図解にしました。

品川駅以遠の横浜駅・新横浜駅方面各駅を発着し、東京駅から太線区間を通過して各方面各駅に向かうケースが想定されています。例えば、東海道新幹線新大阪駅・東京駅間が経路に含まれ、千葉駅・大宮駅・立川駅方面に向かう場合が典型例です。
この規定が適用される場合の太線区間は、中央本線東京駅・代々木駅間よりも北側に縮小されます。縮小した太線区間での最短経路をとって運賃計算を行う点が、第70条第1項の原則と異なる点です。
新幹線で東京駅に到着した時点で品川駅をすでに通過しているため、従来の太線区間の範囲を踏襲すると品川駅方面に折り返して乗車する形になってしまいます。そのため、太線区間が東京駅を起点とした範囲に縮小するわけです。
新幹線東京駅・品川駅間が乗車経路に含まれる場合、太線区間の範囲が変わることを押さえておくとよいでしょう。
迂回乗車(規則第159条第3項)
迂回乗車の取り扱いにかかる規則第159条第3項の条文は、次の通りです。
第70条第3項の規定を適用して発売した普通乗車券、普通回数乗車券又は団体乗車券を所持する旅客は、同条第1項に掲げる図の太線区間を通過する場合には、この区間(東海道本線中東京・品川間及び山手線中品川・代々木間を除く。)をう回して乗車することができる。
縮小した太線区間には、東海道本線(在来線)東京駅・品川駅間および山手線品川駅・代々木駅が含まれません。この条文においても、かっこ書きで当該区間が除外されています。
したがって、新幹線東京駅・品川駅間が乗車経路に含まれる場合、東海道本線(在来線)東京駅・品川駅間および山手線品川駅・代々木駅間を迂回乗車できません。
仮にこの区間の迂回乗車を認めてしまうと、品川駅を2回通過することとなり、乗車経路が同一方向に連続していなければならないという原則に抵触することになります。運賃計算方の大原則に照らし合わせれば、この制限は合理的と言えるでしょう。
運賃計算方・迂回乗車に関する例外(規則第70条第4項)
乗車経路中に新幹線東京駅・品川駅間が含まれ、70条太線区間を通過する場合であっても、乗車経路によっては例外が発生します。
この経路を利用するユーザーはほとんどいないと想定されるものの、例外となる経路や取扱方が具体的に示されています。
運賃計算方にかかる規則第70条第4項の条文は、次の通りです。
第1項の規定にかかわらず、東海道本線(新幹線)中東京・品川間を経由し、かつ、第1項に掲げる図の太線区間を通過して、京葉線中八丁堀・千葉みなと間の各駅と大久保以遠(東中野方面)、北赤羽以遠(浮間舟渡方面)、川口以遠(西川口方面)、三河島以遠(南千住方面)又は亀戸以遠(平井方面)の各駅との相互間を乗車する場合の普通旅客運賃・料金は、太線区間内の旅客の実際に乗車する経路の営業キロによつて計算する。ただし、本項に基づき普通旅客運賃・料金を計算する場合であつても、前条第1項第2号及び次条第1項第1号の規定を適用する。
この条文に書かれた乗車区間を、図解にしました。

京葉線内千葉みなと駅・八丁堀駅間のいずれかの駅を発着し、東京駅・品川駅間の乗車経路が新幹線経由であり、かつ品川駅から太線区間を通過して各方面各駅に向かうケースが想定されています。
このケースに該当する場合に限り、最短経路での運賃計算や太線区間内の迂回乗車が可能な原則が適用されず、例外的に乗車経路通りに運賃計算を行うことになります。太線区間に関する従来の取り扱いを適用せず、運賃計算の大原則に立ち戻る点が、非常に新鮮です。
この条文の設定趣旨をJR東日本に照会したところ、新幹線東京駅・品川駅間を通り、品川駅から太線区間に入る場合、太線区間の最短経路を算出する上で支障が生じます。そのため、例外的に乗車経路通りに運賃計算を行うことにしたとのことです。この例外ルールは、かなり技術的な処理であると言えるでしょう。

先ほどご紹介したそれぞれのきっぷについて、1枚づつ詳しく解説していきます!
東京駅・熱海駅間の別線区間を含み太線区間を通過するきっぷの実例

新幹線東京駅・品川駅間を含む事例として、冒頭でご紹介した東海道本線三島駅・中央本線吉祥寺駅間の普通乗車券と京葉線千葉みなと駅・総武本線千葉駅間の普通乗車券について、それぞれ詳しく解説します。
別線区間および太線区間を含む普通乗車券【全区間在来線利用】
三島駅・吉祥寺駅間の普通乗車券において、70条太線区間の出口駅である品川駅と熱海駅との間を全区間在来線経由とした経路は、下図の通りです。

三島駅(海.東海道)熱海駅(東.東海道)小田原駅(東.東海道)品川駅【太線区間】新宿駅(中央東)吉祥寺駅
この乗車経路に基づいて購入したきっぷの内容は、以下の通りです。
【きっぷの現物】

【きっぷの運賃計算】
| 会社 | 乗車区間 | 基準額 | 加算額 |
| 東海 | 三島駅・熱海駅 | 16.1km | 0km |
| 東日本 | 熱海駅・小田原駅 | 20.7km | 20.7km |
| 東日本 | 小田原駅・品川駅 | 77.1km | 77.1km |
| 東日本 | 品川駅・吉祥寺駅 | 22.8km | 22.8km |
| 営業キロ | 136.7km | 120.6km | |
| 基準額・加算額 | 2,310円 | 110円 |
全区間の基準額2,310円に、熱海駅・吉祥寺駅間に対する加算額110円を適用すると、普通運賃は2,420円になります。太線区間に入る品川駅から太線区間を出る新宿駅までの区間に関しては、最短経路の営業キロを用いて運賃計算を行います。
JR東海区間が含まれるために大都市近郊区間完結とならず、有効期間は2日間です。従来の70条太線区間を迂回乗車可能であり、太線区間を含むすべての途中駅において途中下車できます。
別線区間および太線区間を含む普通乗車券【新幹線品川駅接続】
三島駅・吉祥寺駅間の普通乗車券において、新幹線と70条太線区間との接続駅が品川駅である場合の経路は、下図の通りです。

三島駅(海.東海道)熱海駅(東.東海道)小田原駅(新幹線)品川駅【太線区間】新宿駅(中央東)吉祥寺駅
この乗車経路に基づいて購入したきっぷの内容は、以下の通りです。
【きっぷの現物】

【きっぷの運賃計算】
| 会社 | 乗車区間 | 基準額 | 加算額 |
| 東海 | 三島駅・熱海駅 | 16.1km | 0km |
| 東日本 | 熱海駅・小田原駅 | 20.7km | 20.7km |
| 東海 | 小田原駅・品川駅 | 77.1km | 0km |
| 東日本 | 品川駅・吉祥寺駅 | 22.8km | 22.8km |
| 営業キロ | 136.7km | 43.5km | |
| 基準額・加算額 | 2,310円 | 40円 |
全区間の基準額2,310円に、熱海駅・小田原駅間と品川駅・吉祥寺駅間に対する加算額40円を適用すると、普通運賃は2,350円になります。
新幹線と70条太線区間の接続駅が品川駅である場合、従来からの規則第70条第1項がそのまま適用されます。したがって、この普通乗車券に関する運賃計算方と効力は、全区間在来線を経由した場合と全く同じです。
別線区間および太線区間を含む普通乗車券【新幹線東京駅接続】
三島駅・吉祥寺駅間の普通乗車券において、新幹線と70条太線区間との接続駅が東京駅である場合の取り扱いが今回大きく変更された点であり、要注意です。

三島駅(海.東海道)熱海駅(東.東海道)小田原駅(新幹線)東京駅【太線区間】新宿駅(中央東)吉祥寺駅
この乗車経路に基づいて購入したきっぷの内容は、以下の通りです。
【きっぷの現物】

【きっぷの運賃計算】
| 会社 | 乗車区間 | 基準額 | 加算額 |
| 東海 | 三島駅・熱海駅 | 16.1km | 0km |
| 東日本 | 熱海駅・小田原駅 | 20.7km | 20.7km |
| 東海 | 小田原駅・東京駅 | 83.9km | 0km |
| 東日本 | 東京駅・吉祥寺駅 | 22.5km | 22.5km |
| 営業キロ | 143.2km | 43.2km | |
| 基準額・加算額 | 2,640円 | 40円 |
全区間の基準額2,640円に、熱海駅・小田原駅間と東京駅・吉祥寺駅間に対する加算額40円を適用すると、普通運賃は2,680円になります。
新幹線と70条太線区間の接続駅が東京駅である場合、新たな規則である第70条第3項が適用されます。この条文によって縮小された太線区間を通過する上での最短経路は、東京駅・新宿駅間です。その結果、品川駅接続の場合と比較して全区間の営業キロが増加し、運賃額も高くなります。
規則第70条第3項によって縮小された太線区間を迂回乗車可能であり、当該太線区間を含むすべての途中駅において途中下車できます。
旅行開始後に気が変わっても、山手線品川駅・代々木駅間を迂回乗車することや途中下車することは基本的にできません(接続駅を変更するための区間変更は可能ですが面倒です)。
京葉線内発着かつ東海道新幹線・太線区間を通過する普通乗車券
京葉線千葉みなと駅から総武本線千葉駅ゆき普通乗車券においても、乗車経路に新幹線東京駅・品川駅間と70条太線区間が含まれます。ただし、この経路は規則第70条第4項に該当するため、例外的に独自ルールが適用されます。

千葉みなと駅(京葉)東京駅(新幹線)品川駅(山手)池袋駅(埼京)赤羽駅(東北)秋葉原駅(総武)千葉駅
この経路のきっぷの実物と乗車経路は、以下の通りです。
【きっぷの現物】

【きっぷの運賃計算】
| 会社 | 乗車区間 | 基準額 | 加算額 |
| 東日本 | 千葉みなと駅・東京駅 | 39.0km | 39.0km |
| 東海 | 東京駅・品川駅 | 6.8km | 0km |
| 東日本 | 品川駅・池袋駅 | 15.4km | 15.4km |
| 東日本 | 池袋駅・赤羽駅 | 5.5km | 5.5km |
| 東日本 | 赤羽駅・秋葉原駅 | 11.2km | 11.2km |
| 東日本 | 秋葉原駅・千葉駅 | 37.8km | 37.8km |
| 営業キロ | 115.7km | 108.9km | |
| 基準額・加算額 | 1,980円 | 110円 |
全区間の基準額1,980円に、JR東日本区間に対する加算額110円を適用すると、普通運賃は2,090円になります。
品川駅から太線区間に入り、錦糸町駅で太線区間を抜ける経路であり、京葉線内発着で新幹線東京駅・品川駅間を通過かつ太線区間を通過します。これが規則第70条第4項に該当し、例外的に乗車経路通りに運賃計算を行います。
きっぷの効力としては、経路中新幹線が含まれるため、大都市近郊区間完結ではありません。また、乗車経路が完全に特定され、迂回乗車の対象外です。運賃計算の大原則がそのまま適用され、効力上の例外もない状態であるため、有効期間が2日間で経路上の途中下車が可能です。
運賃制度の変更前は、東京駅・品川駅間が太線区間内の最短経路に含まれないため、この経路では発売できませんでした。そのような意味からも、非常に興味深い発券例だと言えるでしょう。
まとめ

東京駅・熱海駅間の新在別線化が実施されたため、新幹線と在来線の接続駅が品川駅か東京駅のいずれかによって、規則第70条経路特定区間の取り扱いに差が生じるようになりました。
新幹線を利用しない場合や接続駅が品川駅である場合、太線区間を通過する際の取り扱いは従来と変わりません。
しかし、接続駅が東京駅である場合、新たに追加された規則第70条第3項が適用され、太線区間が縮小されます。最短経路の計算や迂回乗車できる範囲が従来と異なり、東海道本線(在来線)東京駅・品川駅間および山手線品川駅・代々木駅間を迂回乗車できないことをしっかりと押さえたいところです。
まれなケースとして、規則第70条第4項が追加されました。京葉線内各駅を発着し、新幹線東京駅・品川駅間を利用し、かつ太線区間を通過して各方面に抜ける場合に限り、乗車経路通りに運賃計算を行います。この場合、迂回乗車するという概念はありません。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考資料
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
当記事の改訂履歴
2026年4月24日:当サイト初稿


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