東京と中国・四国地方を結ぶ「サンライズ瀬戸」号および「サンライズ出雲」号は、日本で唯一の寝台特急列車です。
夜間に移動することで、より多くの現地滞在時間を捻出できます。宿泊料金が高騰している昨今、この列車の寝台料金は比較的リーズナブルであるため、絶大な人気があります。
このようなメリットがある上、夜行列車に乗るという非日常感を満喫できるため、毎日運行される定期列車でありながら予約がなかなか取れません。
ところで、この列車の運賃・料金計算に目を向けると、寝台特急であるためにその算出方法が複雑です。必要なきっぷの組み合わせを理解することさえ、難しいのです。
この列車に乗車する場合にどのようなきっぷを買えばいいのか、金額がいくらになるのか、疑問に感じるのではないでしょうか。

座席扱いとなる設備(ノビノビ座席)と多くの種類の個室寝台が混在することが、運賃・料金計算の全貌把握が困難な理由です。個室寝台における小児(小学生)・幼児(未就学児)の添い寝に関する運賃・料金計算のツボをしっかりと押さえましょう!
この記事では、寝台特急列車「サンライズ瀬戸」号および「サンライズ出雲」号に関するきっぷの組み合わせや運賃・料金計算に焦点を合わせ、設備ごとの算出方法を徹底的に解説します。
一般の鉄道旅行者ばかりではなく、旅行会社従業員や旅行業務取扱管理者試験受験者にとっても実務的な素材となるよう、当記事を編集しました。
- 個室寝台利用時、小学生は小児1名としてカウントし、未就学児はカウントしないこと
- 乗車券・特急券は原則的に実際の乗車人員分、寝台券は1室分必要なこと
- サンライズツインは定員が2名であるため、特急・寝台料金が大人2人分かかること
「サンライズ瀬戸・出雲」号全区間の設備別運賃・料金早見表

最初に、「サンライズ瀬戸・出雲」号の全区間を大人1人で片道乗車した場合の運賃・料金の総額および内訳を示します。
サンライズ瀬戸:東京駅・高松駅間
下表は、東京駅・高松駅間の全区間(営業キロ804.7km)を通常期に乗車した場合の金額です。特急料金については、どの設備を利用してもシーズン別の加算・減算が適用されます(2023年4月以降、寝台料金も対象になりました)。
| 設備 | 総額 | 運賃 | 特急料金 | 寝台料金 | 備考 |
| ノビノビ座席(普通車指定席) | 15,480 | 11,650 | 3,830 | 0 | |
| ソロ(B寝台) | 21,550 | 11,650 | 3,300 | 6,600 | |
| シングル(B寝台) | 22,650 | 11,650 | 3,300 | 7,700 | |
| シングルツイン(B寝台) | 24,550 | 11,650 | 3,300 | 9,600 | 原則通りの1人利用 |
| サンライズツイン(B寝台) | 33,650 | 11,650 | 6,600 | 15,400 | 2人用寝台の1人利用(シングルユース) |
| シングルデラックス(A寝台) | 28,930 | 11,650 | 3,300 | 13,980 |
サンライズ出雲:東京駅・出雲市駅間
下表は、東京駅・出雲市駅間の全区間(営業キロ953.6km)を通常期に乗車した場合の金額です。シーズン別の加算・減算については「サンライズ瀬戸」号と同様です。
| 設備 | 総額 | 運賃 | 特急料金 | 寝台料金 | 備考 |
| ノビノビ座席(普通車指定席) | 16,040 | 12,210 | 3,830 | 0 | |
| ソロ(B寝台) | 22,110 | 12,210 | 3,300 | 6,600 | |
| シングル(B寝台) | 23,210 | 12,210 | 3,300 | 7,700 | |
| シングルツイン(B寝台) | 25,110 | 12,210 | 3,300 | 9,600 | 原則通りの1人利用 |
| サンライズツイン(B寝台) | 34,210 | 12,210 | 6,600 | 15,400 | 2人用寝台の1人利用(シングルユース) |
| シングルデラックス(A寝台) | 29,490 | 12,210 | 3,300 | 13,980 |
「サンライズ瀬戸・出雲」号の運行区間

日本で唯一の寝台特急列車「サンライズ瀬戸」号および「サンライズ出雲」号はいずれも定期列車で、毎日運行されます。これらの列車の運行区間は、以下の通りです。
- サンライズ瀬戸号:東京駅・高松駅間
- サンライズ出雲号:東京駅・出雲市駅間

これらの列車は東京駅・岡山駅間で併結されており、岡山駅で分離・連結作業が行われます。この区間は、JR東日本・JR東海・JR西日本の3社にまたがるのが、大きな特徴です。
「サンライズ瀬戸」号は瀬戸大橋を渡って予讃線高松駅(香川県高松市)に至り、「サンライズ出雲」号は伯備線を経由して山陰本線出雲市駅(島根県出雲市)に至ります。
「サンライズ瀬戸」号はJR3社の区間に加え、JR四国の区間にも乗り入れます。そのため、乗り入れ会社数の多さについては数あるJR線の列車の中でも稀と言えるでしょう。

「サンライズ瀬戸」号に関しては、休前日や土休日に土讃線琴平駅(香川県琴平町)まで延長運転されます(臨時列車扱い)。いったん高松駅に入り、折り返す形で琴平駅に向かうため、運賃・料金計算上この区間をどのように扱うかが問題です。

運賃・料金計算を行うにあたって、各設備がどのようなものかを知ることが欠かせません。これから、各設備の詳細を見ていきましょう!
「サンライズ瀬戸・出雲」号の設備

「サンライズ瀬戸・出雲」号の運賃・料金計算が難解な理由は、6種類にも及ぶ設備の多さです。
この列車には普通車指定席である「ノビノビ座席」と個室寝台が5種類あり、各設備には独特さが見られます。その独特さがこの列車の持ち味である一方、いくらかかるのか分かりにくくなっている原因です。
ここでは、「サンライズ瀬戸・出雲」号の各設備について、料金が安価な設備から高価な設備の順にご説明します。
ノビノビ座席(普通車指定席)

「サンライズ瀬戸・出雲」号の設備のうち、最も安価なのは普通車指定席の「ノビノビ座席」です。寝台ではなく座席扱いであるため、寝台料金はかかりません。
この設備がある5号車と12号車は、いずれも電動車(モハネ285)です。モーターが鳴るため静粛性に劣り、下級設備が配置されたと思われます。

上段と下段にわたって28席が配置されていますが、仕切りは一部分に限られ、プライバシーは十分に確保されているとは言えません。毛布が備わっているので寒さはしのげますが、横になれる程度と考えた方がよいでしょう。
ソロ(B寝台)

ノビノビ座席の次に安価な設備が、1人用寝台の「ソロ」です。個室寝台の中では、寝台料金は最も低廉です。
ソロがある3号車と10号車はやはり電動車(モハネ285)で、静粛性に劣ります。電動車であるために機器のレイアウトに制限があり、寝台車でありながら独特のレイアウトを採用せざるを得なかったと考えられます。

階段の昇降がない平屋の車両に、上段と下段合わせて20室が配置されています。個室ではあるものの、文字通りの上段と下段であるため天井が低く、室内で立てるだけの十分な高さが確保されていません。

毛布と浴衣が備えられており、プライバシーが確保されているので個室として機能しています。ただし、快適か否かの評価は人によって分かれるでしょう。
シングル(B寝台)

「サンライズ瀬戸・出雲」号における標準的な設備は1人用寝台の「シングル」で、編成全体の定員も80室と最も多いです。6号車と13号車は、今時珍しい喫煙可能な車両です。
シングルが配置されている車両はいずれも付随車(クハネ285・サハネ285)で、静粛性が確保されています。車両は2階建てで、階段の昇降がありますが、1階・2階とも天井は十分高いです。

これは、2階にある個室です。天井の高さは車両限界ギリギリで、車両の形がそのまま現れています。

室内にはスーツケース1個を置ける十分なスペースがあり、毛布と浴衣が備えられているので、誰もが十分快適に感じるでしょう。
シングルツイン(B寝台)

シングルと類似した設備が、編成全体で8室しかない「シングルツイン」です。
シングルと異なるのは室内に補助寝台が付いている点で、補助寝台を使用すれば2人で利用できます。寝台料金は1人利用を前提に設定されており、補助寝台を使用する場合追加料金がかかります。

シングルツインの個室があるのは、いずれも各車両のドア近くです。また、シングルツインの各個室に至るまで、階段の昇降がありません。室内空間が広く感じられるのと同時に、バリアフリー性の高さが見逃せない特長です。
サンライズツイン(B寝台2人用)

4号車と11号車の下段にあるのが2人用B寝台の「サンライズツイン」で、編成中わずか4室の設備です。禁煙室が2室、喫煙可能な個室が2室ありますが、室数が少ないため予約が非常に困難です。
室内には、寝台が2つ配置されています。ほとんどの個室が1人用であるため、2人用のサンライズツインは非常に貴重です。
シングルデラックス(A寝台)

4号車と11号車の上段にあるのが、1人用A寝台の「シングルデラックス」です。禁煙室と喫煙室が各3室ありますが、人気があって予約困難であることは言うまでもありません。
座席車におけるグリーン車に相当するのがA寝台であるため、上級設備としてサービスが充実しています。

各室には机と洗面台が備えられており、居住性は抜群です。小児・幼児の添い寝も現実的な広さが確保されています。

寝台の幅はB寝台に比べて広く確保されており、掛け布団は毛布ではなく羽毛です。

スリッパとシャワーカードが入ったアメニティキットがベッドの上に置かれています。
トイレは共用ですが、シングルデラックスユーザー専用のシャワールームが確保されています。名実ともに、上級設備と言えるでしょう。

「サンライズ瀬戸・出雲」号の基本が一通り押さえられたところで、本題の運賃・計算方に進みましょう!
「サンライズ瀬戸・出雲」号の運賃・料金計算方【原則】

寝台特急列車「サンライズ瀬戸・出雲」号を利用するには、どの設備であっても運賃と特急料金が必要であり、個室寝台を利用する場合はあわせて寝台料金も必要です。
ノビノビ座席(普通車指定席):[運賃]+[特急料金]
個室寝台(A寝台・B寝台):[運賃]+[特急料金・寝台料金]
このように、この列車の運賃・料金体系が運賃・特急料金・寝台料金の3階建てとなっていることが、運賃・料金の算出を難解にしている要因です。
ここでは、運賃・特急料金・寝台料金について、計算方法を詳しくご説明します。
人数のカウントに関する原則
「サンライズ瀬戸・出雲」号に2人以上で乗車する場合、特に小児(小学生)や幼児(未就学児)を連れたファミリーには、運賃・料金計算ばかりではなくきっぷの買い方自体が難しいです。
定員1名の個室寝台においては、1室で大人1名と同伴された小児・幼児1名の2名で利用できるとされています(添い寝と言います)。寝台列車における人数カウントの考え方が、通常の座席車とは異なっているため、時に混乱するわけです。
ここで覚えておいていただきたいのが、
乗車券・特急券は「実際の乗車人員分」購入し、寝台券は「実際に使用する室数分」購入する
ことです。
個室寝台券は室単位で発売し、乗車券と特急券は人単位で発売するのが大原則であると考えるとよいでしょう。この原則を覚えておけば、個室を小児・幼児と2人で使用する場合もあまり悩むことはありません。
この例外が定員2名のサンライズツインで、1室を予約するには実際の利用人数によらず、大人2名分の特急料金と1室分(定員2名分)の寝台料金が必ずかかります(旅客営業規則第74条の5)。
運賃
利用する設備にかかわらず、実際の乗車区間に応じた普通運賃を計上します。この列車の乗車区間に限定することなく、発駅から最終的な着駅までの運賃を通しで計算しても、一向に差し支えありません。
「サンライズ出雲」号が走る区間はすべて本州3社内の幹線に含まれるため、単純に乗車区間の営業キロに応じた運賃を求めます。
東京駅・出雲市駅間の営業キロは953.6kmで、幹線運賃表(基準額)から運賃額12,210円が求められます。
「サンライズ瀬戸」号の運行区間はすべて幹線であるものの、JR四国にかかる加算額(瀬戸大橋線にかかる加算額を含む)を適用しなければなりません。
東京駅・高松駅間の営業キロは804.7kmで、幹線運賃表及び加算額表を参照し、以下の式で運賃額を求めます。
[全区間の幹線運賃(基準額)11,330円]+[JR四国区間44.0km分の加算額320円]= 11,650円
JR四国管内で高松駅以遠の各駅に向かう場合、加算額の算出に十分に注意してください。
「サンライズ瀬戸」号に乗車し、高松駅以遠琴平駅方面に通しで乗車する場合の運賃・料金計算方は特殊です(当該特例に関しては後述)。
この列車に関し、利用が想定される区間の営業キロは片道100km以上であるため、学割(2割引)や手帳による運賃割引(5割引)が問題なく適用されます。
特急料金
運賃と同様、利用する設備を問わず特急料金も必要ですが、普通車指定席である「ノビノビ座席」と個室寝台では計算方法が異なります。
ノビノビ座席
JR各社標準のA特急料金をそのまま適用します。シーズンによる料金変動が適用されるため、閑散期には大人200円を減算、繁忙期には大人200円を加算、最繁忙期には大人400円を加算します。
例えば、繁忙期において東京駅・高松駅間のノビノビ座席に乗車した場合の特急料金は、以下の通りです。
[通常期のA特急料金3,830円]+[繁忙期の加算200円]= 4,030円
個室寝台
ベースとなる(指定席)特急料金にシーズンごとの料金変動を適用した後、一律で大人530円を減算します。寝台料金にはすでに座席指定料金相当の金額が含まれており、二重取りしないために減算するという考え方です。
例えば、繁忙期において東京駅・高松駅間のシングルに乗車した場合の特急料金は、以下の通りです。
[通常期のA特急料金3,830円]+[繁忙期の加算200円]- 530円 = 3,500円
シーズン別特急料金が適用される日のカレンダーを、別の記事として公開しています。ぜひご一読ください。
寝台料金
個室寝台を利用する場合、設備に応じた寝台料金がかかります。金額は以下の通りですが、大人と小児は同額です。幼児であっても1室を占有する場合、小児の運賃・特急料金および寝台料金がかかります(サンライズツインを除く)。
| 種別 | 設備 | 金額 | 備考 |
| 1人用B寝台 | ソロ | 6,600円 | |
| 1人用B寝台 | シングル | 7,700円 | |
| 1人用B寝台 | シングルツイン | 9,600円 | 補助寝台追加5,500円 |
| 2人用B寝台 | サンライズツイン | 15,400円 | 大人2名分(幼児のみで占有不可) |
| 1人用A寝台 | シングルデラックス | 13,980円 |
前述したように、個室寝台は小児・幼児の添い寝が可能です。運賃・料金を支払う大人または小児1名と、同伴された小児または幼児1名のあわせて2名が同じ個室を利用できます。添い寝する場合の具体的な運賃・料金計算については、後述します。
「ジパング倶楽部」会員向け割引について
65歳以上のシニア層向け「ジパング俱楽部」の会員には、【2026年3月14日以降の適用条件】片道の営業キロが101km以上となる経路について、運賃・料金の割引が実施されています。「サンライズ瀬戸・出雲」号においても割引が適用されますが、その範囲は限定的なので注意しましょう。
割引対象は以下の内容に限定され、寝台料金は割引対象外です。
- 運賃
- 特急料金(サンライズツイン利用の場合の特急料金を除く)
また、GW・お盆・年末年始といった最繁忙期において、割引の除外期間があることも念頭に置きましょう。
「サンライズ瀬戸・出雲」号のきっぷの様式

「サンライズ瀬戸・出雲」号に乗車する時に手にするきっぷがどのような様式であるか、ここでご紹介します。
乗車券
この列車の乗車区間が普通乗車券の区間に含まれていればよく、発駅と着駅の制限は特にありません。この列車の運行区間の距離が非常に長いため、乗車券の区間が長ければ長いほど距離当たりの単価が安くなります。これを遠距離逓減制と言いますが、これを活かすとユーザーにとって有利です。

これは「サンライズ瀬戸」号の始発駅である高松駅から東京駅を経て、高崎線宮原駅(さいたま市北区)に至る普通乗車券です(東京都区内ゆきと同額)。

このきっぷは、琴平駅ゆき「サンライズ瀬戸」号の乗車にあたって購入しました。東京都区内から琴平駅ゆき普通乗車券ですが、券面上高松駅を経由していません。ただし、後述する区間外乗車特例が適用されるため、この乗車券で大丈夫です。
特急券・寝台券
ノビノビ座席は普通車指定席であるため、通常の特急券と同じ様式です(8.5cm券)。
個室寝台においては特急券と寝台券は必ずセットで発売され、一葉で発券されます(12cm券)。

このきっぷは、高松駅から東京駅までサンライズ瀬戸号の「シングル」を利用した時の寝台券です。マルス操作上、ノビノビ座席とは別の列車扱いであり「サンライズ瀬戸シングル」という列車名で検索を行います。

このきっぷは、東京駅から高松駅までサンライズ瀬戸号の「シングルツイン」を利用した時の寝台券です。大人1名で利用した旨が、きっぷにも記録されています。2名で利用した場合、大人または小児1名分の特急料金と補助寝台代5,500円が加算されます。
「サンライズ瀬戸・出雲」号の運賃・料金計算実例【設備別】

「サンライズ瀬戸・出雲」号を利用する場合の運賃・料金計算を、演習形式でご説明します。
大人1名と小児1名(小学生)の親子連れが「サンライズ瀬戸」号を利用し、東京駅から高松駅まで通常期に乗車する場合の運賃・料金を、設備別に検討していきましょう。
ノビノビ座席【座席2席分】
ノビノビ座席では横になれるものの、あくまでも座席扱いです。指定券(運賃+特急料金)
については、大人1人分と小児1人分の2席分を購入することになります。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,830 | 1,910 | 2人分 | |
| 寝台料金 | 0 | 0 | ||
| 合計 | 15,480 | 7,730 | 23,210 |
ソロ【添い寝】
ソロの室内はかなり狭いため、小学生の添い寝は厳しいです。個室を2室取るのが理想ですが、取れなければ最悪添い寝という手があることを覚えておくとよいでしょう。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,300 | 1,650 | 2人分 | |
| 寝台料金 | 6,600 | 0 | 11,550 | 1人分 |
| 合計 | 21,550 | 7,470 | 29,020 |
シングル【添い寝】
ソロほどではないにせよ、シングルの室内も2人では狭いです。個室を2室取るのが理想ですが、取れなければ最悪添い寝という手段が考えられます。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,300 | 1,650 | 2人分 | |
| 寝台料金 | 7,700 | 0 | 12,650 | 1人分 |
| 合計 | 22,650 | 7,470 | 30,120 |
シングルツイン【補助寝台利用】
シングルツインは通常1人で利用しますが、補助寝台を使えば2人でも利用可能で、親子連れには最適な設備です。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,300 | 1,650 | 2人分 | |
| 寝台料金 | 9,600 | 5,500 | 20,050 | 2人分(補助寝台使用) |
| 合計 | 24,550 | 12,970 | 37,520 |
シングルツインの基本料金と補助寝台の料金には差があることを押さえましょう。
サンライズツイン【大人2人用】
サンライズツインにはツインベッドが2台備わっているため、心置きなく親子連れで利用できます。大人または小児2名に加え、随伴される幼児が2名まで、最大で4名での利用が可能です。2人用B寝台ということで、人数構成にかかわらず特急料金と寝台料金は各大人2人分かかります(定額設定)。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,300 | 3,300 | 大人2人分 | |
| 寝台料金 | 7,700 | 7,700 | 22,000 | 大人2人分 |
| 合計 | 22,650 | 16,820 | 39,470 |
サンライズツインを1人で利用する場合(シングルユース)も、特急料金と寝台料金は定額で、2人分の22,000円です(運賃は1名分でよいです)。
シングルデラックス【添い寝】
シングルデラックスは本来1人用の個室にもかかわらず、A寝台のため室内とベッドの幅が広いです。大きい子でなければ、小学生と2人で十分に使えます。
| 大人 | 小児 | 合計 | 備考 | |
| 運賃 | 11,650 | 5,820 | 2人分 | |
| 特急料金【通常期】 | 3,300 | 1,650 | 2人分 | |
| 寝台料金 | 13,980 | 0 | 18,930 | 1人分 |
| 合計 | 28,930 | 7,470 | 36,400 |
上表を見れば、添い寝前提でシングルデラックスを取れば、思ったほど総額が高くないことが分かるでしょう。

最後に、運賃・料金計算上留意すべき特例についてお話しします。
運賃・料金計算上の特記事項

JR四国・JR東日本区間に適用される運賃の加算額やJR四国琴平駅延長運転に関係する計算上の特例、従来適用されていた運賃・料金の割引制度についてご説明します。
宇多津駅・高松駅間における区間外乗車特例
「サンライズ瀬戸」号が琴平駅まで延長される日には、高松駅到着後に折り返し琴平駅方面に向かいます。その際、折り返し区間にあたる宇多津駅(香川県宇多津町)から高松駅までの区間の往復運賃・料金をユーザーに負担させるのは、合理的ではありません。

そのため、宇多津駅・高松駅間に関しては乗車券類を持たなくても区間外乗車できるとされています(旅客営業規則第160条の6・第172条の2)。具体的には、児島駅(岡山県倉敷市)以遠の各駅から多度津駅(香川県多度津町)以遠の駅まで乗車する場合、最短経路で運賃・料金計算を行う形です。
東京駅・琴平駅間を列車の運行経路通りに計算すると、営業キロ848.7km分の運賃・料金を適用することになりますが、この特例適用によって営業キロ796.9km分で足りることになります。
JR四国区間・JR東日本区間における運賃加算
JR本州会社とJR四国では運賃水準が異なるため、通算加算方式の原則を適用してJR四国区間について加算額(大人320円)を追加します(瀬戸大橋線の加算額込み)。
また、2026年3月14日発売分から、JR東日本東京駅・熱海駅間についても加算額(大人110円)を追加することになります。
往復割引・乗継割引について
2026年3月13日発売分をもって往復乗車券の発売が終了されることによって、「サンライズ瀬戸・出雲」号の乗車券に適用されることが多かった「往復割引」の制度が消滅することになります。
また、「サンライズ瀬戸」号と四国方面の特急列車を乗り継ぐ場合に特急料金が割引になる「乗継割引」が従来設定されていましたが、現在は廃止されています。
まとめ ~ツボを押さえれば決して難しくない~

東京駅と高松駅を結ぶ「サンライズ瀬戸」号および出雲市駅に向けて走る「サンライズ出雲」号は、日本で唯一の寝台特急列車です。
ノビノビ座席と個室寝台あわせて6種類の設備があり、好みに応じて選択できますが、この設備の多さが運賃・料金計算を複雑怪奇なものにしています。
「サンライズ瀬戸・出雲」号に関する運賃・料金計算を完璧にするツボは、小児(小学生)および幼児(未就学児)の人数カウント方法を習得することです。
個室寝台1室は、大人と小児・幼児の2名までの利用が可能です(サンライズツインは4名まで)。運賃および特急料金は実際に乗車する人員分を算出し、個室寝台料金は実際に利用する室数を算出します。
シングルツインにおいて補助寝台を使用する時や2人用個室寝台のサンライズツインについては、特急・寝台料金の算定が特殊なので注意しましょう。
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則
● JR東日本ニュースリリース「往復乗車券及び連続乗車券の発売終了について」2024.12.02付
当記事の改訂履歴
2025年12月30日:当サイト初稿



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