JR西日本はなぜ京阪神地区における「電車特定区間」をやめられなかったのか?JR東日本東京地区における制度廃止と比較

大阪駅ホーム 運賃制度

日本全国に網を張るJR各社は大都市圏にも多くの路線を持っていますが、そこでは並行する私鉄線との激しい競争が待っています。

キロ程に応じて定められた運賃水準(賃率)は全国的に統一されていますが、競合する私鉄線の運賃水準にはとても及びません。

そこで、京阪神地区においては、全国的な運賃水準よりも低く抑えられた「大阪附近における電車特定区間」の賃率が設定されています。2025年3月をもって「大阪環状線内」の賃率が廃止され、新たな電車特定区間として継続されています。

一方、東京地区においては、「東京附近における電車特定区間」および「山手線内」の賃率が2026年3月に廃止されることになりました。

東京地区で廃止できた電車特定区間の賃率が、京阪神地区ではなぜ廃止されなかったのでしょうか。

京阪神地区においては都市間にJR線と私鉄線が並行しており、歴史的に激しい競合関係にあります。ユーザーの目が厳しいことから、抜本的な運賃引き上げがなかなか難しい状況です。

この記事では、2026年3月まで設定されていた「東京附近における電車特定区間」および「山手線内」の賃率と、引き続き設定されている「大阪附近における電車特定区間」の賃率について、詳しくご説明します。

その上で、JR西日本が京阪神地区の電車特定区間を廃止せず、継続せざるを得なかった事情を考察していきます。

この記事を読むと分かること
  • 京阪神地区の電車特定区間を再編しても、JR西日本にとって増収効果が薄かったこと
  • 電車特定区間を拡大することで、鉄道駅バリアフリー料金の増収効果があったこと
  • 東京地区の電車特定区間・山手線内の区分廃止では、JR東日本の増収効果が大きいこと

電車特定区間の賃率の取り扱いに関するJR東日本とJR西日本の差

大阪駅駅名標

JR西日本は2025年4月に、JR東日本は2026年3月にいずれも運賃改定を行いましたが、電車特定区間をめぐって両社の扱いには大きな差が生じました。

JR西日本による電車特定区間の再編・JR東日本による電車特定区間の廃止

2025年4月に実施されたJR西日本の運賃改定においては、京阪神地区に限定して電車特定区間の再編と運賃改定が同時に実施されました。これは、全社的な運賃引き上げというよりはむしろ、京阪神地区における列車の運行実態に即した修正に近いと言えるでしょう。

一方、JR東日本管内においては2026年3月に運賃が全社的に改定され、大幅な運賃引き上げとなりました。この運賃改定は賃率のみならず、営業制度にも大きく踏み込んでいます。その中でもインパクトが大きいのが、東京地区の電車特定区間および山手線内の賃率そのものが廃止されたことです。

京阪神地区における運賃引き上げが必要最低限であったのに対し、東京地区においては運賃の引き上げ幅が大きく、経済に大きな影響をもたらしたと言えるでしょう。

電車特定区間にかかる運賃引き上げの具体例と影響の大きさ

例えば、京阪神地区における運賃改定の実例と東京地区における運賃改定の具体例は、以下の通りです。

京阪神地区

  • 大阪駅・天王寺駅間:
    営業キロ10.7km/旧運賃210円・新運賃240円
  • 山科駅・姫路駅間:
    営業キロ136.2km/旧運賃2,310円・新運賃2,210円

大阪環状線内の賃率が廃止された影響で線内完結の運賃は大幅に上昇しましたが、京阪神地区全体を俯瞰すれば必ずしも大幅な引き上げであったとは言えません。新たに電車特定区間に編入された山科駅・姫路駅間については、運賃が逆に引き下げになりました。

東京地区

  • 東京駅・新宿駅間:
    営業キロ10.3km/旧運賃210円・新運賃260円
  • 大船駅・大宮駅間:
    営業キロ76.8km/旧運賃1,280円・新運賃1,410円

電車特定区間および山手線内の賃率が廃止された上、幹線の賃率も上昇したため、運賃の引き上げ幅が非常に大きいです。

このように、京阪神地区においても東京地区においても、運賃引き上げの影響は大きかったと言えるでしょう。しかし、両地区の間では、運賃引き上げの質がまるで異なります。一体、このような差はどうして生じたのでしょうか。

それでは、電車特定区間に関する基本を一通り見た上で、京阪神地区において電車特定区間を廃止できなかった背景を考察していきましょう!

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電車特定区間(かつての国電区間)の範囲・賃率

大阪駅うめきたエリア

ここでは、京阪神地区における電車特定区間の概要および2026年3月をもって廃止された東京附近における電車特定区間の範囲と新旧の賃率を見ていきましょう。

京阪神地区(大阪附近における電車特定区間)

国土交通省による認可を受け、大阪附近における電車特定区間の範囲は2025年4月に再編されました。ここでは、見直し前後のそれぞれの範囲を比較しましょう。

再編前(2025年3月まで)

JR京都線の起点である京都駅からJR神戸線の途中にある西明石駅までの区間、および阪和線の全線、関西本線奈良駅までの区間が含まれていました。

再編前の大阪附近における電車特定区間の範囲
運賃区分賃率
大阪環状線内13.25円
電車特定区間15.30円
幹線16.20円

大阪環状線内の範囲は、電車特定区間よりも賃率がさらに低く設定されていたものの、この範囲には関西空港線が含まれていませんでした。現在の輸送実態とかけ離れてしまっていたと言えるでしょう。

再編後(2025年4月以降)

再編前の上記区間に加え、琵琶湖線野洲駅、湖西線堅田駅、JR宝塚線新三田駅、JR神戸線網干駅および関西空港線関西空港駅も、電車特定区間に含まれるようになりました。

再編後の大阪附近における電車特定区間の範囲
運賃区分賃率
電車特定区間15.50円
幹線【据え置き】16.20円

この見直しによって、京阪神地区における運行系統・区間と電車特定区間の設定範囲が一致しました。大阪環状線内の賃率が廃止され、電車特定区間に一本化された形です。

【廃止済】東京地区(東京附近における電車特定区間)

京浜東北線・根岸線の起終点である大船駅および大宮駅、中央線快速/中央・総武線各駅停車の起終点である高尾駅および千葉駅の範囲が、東京附近における電車特定区間に含まれていました。

廃止された東京附近における電車特定区間の範囲
運賃区分改定前賃率改定後賃率
山手線内13.25円(廃止)
電車特定区間15.30円(廃止)
幹線【JR東】16.20円16.96円

山手線内の賃率が電車特定区間の賃率よりも低く設定されていましたが、2026年3月の制度改定によってこれらが一気に廃止されました。

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京阪神地区における電車特定区間の運賃が低額な背景~私鉄との激しい競合の産物~

大阪駅構内

京阪神地区にはJR線に並行して、複数の私鉄線が網を張っています。従来からJRと私鉄が所要時間や運賃、快適性を競ってきました。JRだけが運賃を大幅に引き上げたらユーザーが私鉄に流れてしまうため、運賃改定には慎重にならざるを得ません。

ここでは、JR線において複数の賃率が生じた経緯および運賃計算の過程をご説明した上で、京阪神地区における競合について見ていきたいと思います。

複数の賃率が設定された経緯

かつて、JRの前身である旧国鉄の経営が苦しかった時代、全線の賃率は一律でした。利用者が多く採算性が良い路線の運賃水準と、利用者が少ないローカル線の運賃水準が同一で、問題がありました。

  • コストが反映されない運賃設定の不公平さ
  • 私鉄との競合に影響があること
  • ローカル線の非効率な輸送が温存されてしまうこと

このようなことから、採算性の良い路線が「幹線」、採算性が悪いローカル線が「地方交通線」と区分されたわけです。

私鉄との競争がある大都市圏内の路線では運賃水準をさらに下げる必要性があり、現在の電車特定区間である「国電」が走っていた区間が「電車特定区間」とされました。さらに、山手線内・大阪環状線内の賃率についても、より一層低い水準に抑えられたのです。

これらの賃率が国鉄時代から現在まで受け継がれてきましたが、ここにきて曲がり角を迎えています。

JR線における運賃計算のロジック

JR線の運賃計算を行う上では、キロ程に対して線区によって適用される賃率(1キロメートル当たりの運賃単価)を乗じることが基本です。

運賃表上の距離帯は1キロメートル刻みではなく、近距離では5キロメートル刻みや10キロメートル刻みで定められています。これを数式に直すと、以下の通りです。

[距離帯ごとの基準距離 X 各運賃区分ごとの賃率 X 消費税率]=[消費税込の運賃額]

このような運賃水準の決め方を、「対キロ制」と言います。

例えば、営業キロが91km-100kmの距離帯である場合、大阪附近における電車特定区間に関する運賃額の算出方は、以下の通りです。

ステップ1:
[基準距離95km X 賃率15.30円]=[消費税加算前の運賃額1,460円 (A)※]
ステップ2:
[(A) X 消費税10%]=[消費税込の運賃額1,610円 (B)※]
ステップ3:
[(B)+鉄道駅バリアフリー料金10円]=[消費税込の運賃額1,620円]
※ 端数は10円単位に切り上げ

なお、営業キロが10キロメートル以内の場合、距離帯ごとの基準距離に賃率を乗じるのではなく、個別に金額が設定されています。

京阪神地区における主な鉄道会社の賃率を比較

京阪神地区においてJR線と並行する各路線を運営する鉄道会社は以下の通りであり、JR西日本は激しい競争環境にさらされています。

  • 阪急電鉄
  • 京阪電気鉄道
  • 阪神電気鉄道
  • 南海電気鉄道
  • 近畿日本鉄道

これから各鉄道会社の運賃額を比較していきますが、金額の多寡と並んで忘れてはならないのは、関西特有の価格に対する厳しい感覚です。

関東では金額に多少の差があっても許容される傾向がありますが、関西ではわずか10円の差であってもユーザーによる選別を受けます。歴史的に私鉄各社が安くて快適なサービスを提供してきた土壌があるため、賃率を安易に引き上げることにはリスクを伴います。

京阪神地区における主要区間について、これらの会社の運賃と大阪附近における電車特定区間の賃率を適用した場合のJR線運賃を比較したのが、下表です。

乗車区間営業キロJR線運賃※私鉄線運賃
大阪駅・京都駅42.8km750円
大阪梅田駅・京都河原町駅47.7km410円
大阪駅・宝塚駅25.5km490円
大阪梅田駅・宝塚駅24.5km290円
大阪駅・三ノ宮駅30.6km580円
大阪梅田駅・神戸三宮駅32.3km330円
京都駅・奈良駅41.7km750円
京都駅・近鉄奈良駅39.0km760円
JR難波駅・奈良駅41.0km750円
大阪難波駅・近鉄奈良駅32.8km680円
天王寺駅・和歌山駅61.3km1,120円
南海難波駅・和歌山市駅64.2km970円
※ JR線運賃については電車特定区間の本則賃率を適用した場合を想定

このように、JR線の標準的な電車特定区間の賃率を適用すると、競合各社の運賃よりもはるかに高額になってしまいます(阪急電鉄との比較では特に顕著です)。これでは、JR西日本は運賃面で競争に勝てるわけがありません。

競争力を確保するため、上述した各鉄道会社が運営する各路線と並行するJR線の運賃は「特定区間」として、電車特定区間の賃率よりも低い特定額が設定されています。

上表に、JR線各区間における「特定区間」の運賃額を加えてみましょう。

乗車区間営業キロJR線本則運賃JR線特定運賃私鉄線運賃
大阪駅・京都駅42.8km750円580円
大阪梅田駅・京都河原町駅47.7km410円
大阪駅・宝塚駅25.5km490円340円
大阪梅田駅・宝塚駅24.5km290円
大阪駅・三ノ宮駅30.6km580円420円
大阪梅田駅・神戸三宮駅32.3km330円
京都駅・奈良駅41.7km750円720円
京都駅・近鉄奈良駅39.0km760円
JR難波駅・奈良駅41.0km750円580円
大阪難波駅・近鉄奈良駅32.8km680円
天王寺駅・和歌山駅61.3km1,120円900円
南海難波駅・和歌山市駅64.2km970円

競合する区間に特定区間の運賃が適用されることによって、競合他社との運賃額にいくらか近づきました。なお、近鉄線・南海線については、JR線の方がかえって低額です。

このように、JR線については電車特定区間の賃率にさらに調整を加え、さらに特定区間として運賃を設定しなければならない程度に価格面での競争が厳しいです。仮に、JR西日本が電車特定区間を廃止などしたら、価格に敏感な近畿圏のユーザーはJR線を選ぶはずがありません

JR西日本にとって、電車特定区間の賃率を維持することは、間違いなく営業面での生命線です。

京阪神地区における電車特定区間の賃率設定の不可欠さが理解できたところで、2025年4月に大阪附近における電車特定区間が再編された際の具体的な効果を見ていきましょう!

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京阪神地区における電車特定区間再編による効果

京都駅山陰線ホーム

京阪神地区における運賃体系の見直しについて、2024年5月15日付の同社ニュースリリースで告知されました。ここでは、その内容をおさらいし、効果を検証します。

運賃体系変更に関するJR西日本からの告知内容

運賃区分や適用範囲の見直しについて国土交通省の認可を受け、2025年4月以降の発売分に適用されています。

電車特定区間の範囲拡大

JR西日本京阪神エリアの路線のうち、大阪駅から比較的近い区間は、運賃計算上の区分として「電車特定区間」に指定されています。その区間が、遠方の区間まで拡大されました。

例えば、JR京都線およびJR神戸線で見ると、現行の範囲は京都駅から大阪駅を経て西明石駅までの区間です。その区間が、京都駅より遠方の野洲駅、西明石駅より遠方の網干駅まで延長されました。

改定後の電車特定区間の範囲は、下図の通りです。

再編後の大阪附近における電車特定区間の範囲

大阪環状線内の区分廃止

従来、大阪環状線内に関しては、大阪附近における電車特定区間よりもさらに低い賃率が設定されていました。今回の見直しでこの区分が廃止され、大阪附近における電車特定区間に一本化されました。

大阪環状線内および電車特定区間の賃率の引き上げ

電車特定区間に一本化されるのに合わせて、新たな電車特定区間の賃率が改定されました。

営業キロ11km以上の区間の新旧の賃率は、下表の通りです。新たに電車特定区間とされる区間では運賃が引き下げられた一方、従来からの電車特定区間では運賃が引き上げられました。

適用運賃改定前賃率改定後賃率
大阪環状線内13.25円(廃止)
電車特定区間15.30円15.50円
幹線【据え置き】16.20円16.20円

このように、京阪神地区における各路線の運行区間と電車特定区間の範囲が一致し、運賃体系もよりシンプルになりました。

京阪神地区の電車特定区間再編による効果

京阪神地区の電車特定区間が再編されたことによって生じた効果は、次の通りです。

電車特定区間の範囲および賃率

今回の見直しで変わったのが、大阪附近における電車特定区間の範囲および賃率です。

従来電車特定区間の範囲外だった駅が乗車区間に含まれる場合、運賃が引き下げられる効果が生じます。一方、従来からの電車特定区間内で完結する区間については、賃率の改定に伴って運賃が引き上げになりました。

大阪環状線内の運賃引き上げ

また、大阪市内を走る大阪環状線内の運賃は、完全に引き上げられました。乗車区間にもよりますが、Osaka Metroとの運賃競争面で不利になる場面が生じそうです。

京阪神地区の電車特定区間再編の影響を受けなかったもの

一方、京阪神地区の電車特定区間の再編を経ても変わらなかったこともあります。

電車特定区間の範囲外をまたがって乗車する場合の運賃

電車特定区間の範囲外の駅にまたがって乗車する場合、従来からの「幹線」運賃テーブルを使って運賃計算します。

私鉄と競合する特定区間の運賃設定

並行する私鉄線と運賃が競合する区間では、所定の運賃テーブルに関係なく、特定の運賃額が定められます。これを「特定区間」と言います。

電車特定区間と用語が類似していて、頭がごっちゃになりますね。私鉄線との競合区間であるか否かで区別すると、理解できると思います。

私鉄競合区間における特定区間の運賃については変更しないと告知されました。

鉄道駅バリアフリー料金の徴収拡大の巧妙さ

設備のバリアフリー投資のために徴収が認められている「鉄道駅バリアフリー料金」の徴収が、電車特定区間の範囲拡大に伴って拡大された面にも目を向ける必要があります。

大阪附近における電車特定区間の賃率の改定幅自体はわずかでした。鉄道駅バリアフリー料金を追加で徴収することによって、運賃表上の賃率は維持しつつ、実質的なバリアフリー投資原資を確保できました。

幹線の賃率を適用した上で鉄道駅バリアフリー料金を追加で徴収することは、社会にはとても受け入れられないでしょう。その点、電車特定区間の枠組みを逆手に取り、鉄道駅バリアフリー料金の徴収によって実質増収を果たしたJR西日本の立ち回りは非常に巧妙です。

京阪神地区における電車特定区間再編のメリデメ

ここで、JR西日本京阪神地区における運賃体系の再編によって生じるメリットおよびデメリットを考えます。

再編によるメリット

大阪附近における電車特定区間は、かつて国鉄時代に「国電」が走っていた区間です。かつての国電の走行区間の範囲と、現在の都市圏列車の走行区間の範囲には、大きなずれが生じました。

つまり、電車特定区間に関する運賃体系には、大きなねじれが生じていました。そのねじれが、今回の再編によって改善されたと言えます。

再編によるデメリット

今回の運賃体系の変更には、大阪環状線内の賃率廃止が含まれています。つまり、大阪市内中心部におけるJR線運賃が引き上げられたことを意味します。

また、電車特定区間の賃率自体が、今回引き上げになりました。大半のユーザーにとってはわずかながら運賃の値上げとなり、不利益が生じた格好です。

当記事の内容はもっぱら大阪附近における電車特定区間に関するものですが、東京附近における電車特定区間の区分廃止で想定される影響についても触れたいと思います。

JR東日本管内における電車特定区間の区分廃止で失うもの

東京駅中央線ホーム

運賃改定の波はJR東日本管内にも及び、2026年3月に運賃が引き上げられました。賃率が引き上げられただけではなく、東京附近における電車特定区間および山手線内の賃率が一気に廃止されたことは、多くのユーザーにとって痛手です。

運賃改定以降、幹線の賃率に一本化されましたが、その影響で東京地区におけるJR線運賃がかなり上昇しました。私鉄と競合する主な区間の運賃を見てみましょう。

乗車区間営業キロJR線本則運賃JR線特定区間私鉄線運賃
東京駅・新宿駅(JR)10.3km260円(設定なし)
東京駅・新宿駅(メトロ)7.9km210円
新宿駅・八王子駅37.1km720円620円
新宿駅・京王八王子駅37.9km410円
渋谷駅・横浜駅(JR)29.2km530円440円
渋谷駅・横浜駅(東急)24.2km310円
新橋駅・逗子駅53.0km1,040円910円
新橋駅・逗子・葉山駅51.6km800円
本表に掲載した本則運賃は、特定区間の設定がない場合本来かかる金額です。

このように、JR東日本の東京地区においては通常の賃率よりも低い特定区間の運賃が設定されているものの、私鉄線の運賃よりもかなり高額です。決して競争力があるとは言えず、運賃改定に際して特定区間の運賃が廃止された区間が多く生じました。

特に、新宿駅・八王子駅間の運賃引き上げ幅が大きく(500円から620円に)、京王線経由の運賃を大幅に上回ってしまいました。中央線から京王線への逸走が生じることが予想されます。同じく引き上げ幅が大きい東京駅・新宿駅間においても、東京メトロ丸の内線にも逸走が発生しそうです。

JR東日本側は、競合他社の運賃水準が上昇したため運賃区分を分けることの意味合いが薄れたと言いますが、運賃比較の結果からは必ずしもそうであるとは断言できません。

果たして、東京地区の運賃を大幅に引き上げたことがうまくいくかどうか、区間によって明暗が分かれそうです。

JR東日本管内における運賃引き上げおよび営業制度の変更による影響について、以下の記事に詳しくまとめてあります。あわせてご一読ください。

まとめ

大阪駅ホーム

JR西日本京阪神地区では、2025年4月に電車特定区間の再編が実施され、大阪附近における電車特定区間の範囲が拡大し、当該範囲において賃率が統一されました。

この運賃改定は全社的なものではなく、電車特定区間再編のための調整という意味合いが強かったです。

電車特定区間が再編される際、私鉄各線との競合対策としての特定区間の設定区間と運賃額に手が付けられず、従前の運賃水準が保たれました。仮に引き上げた場合には私鉄各社への逸走が発生したことが明らかで、維持せざるを得ない状況でした。

電車特定区間の再編によって、大阪地区各路線の運行区間と電車特定区間の範囲が一致したことはユーザーにとっても分かりやすく、有益なものになったと考えます。

一方、JR東日本管内で2026年3月に実施された運賃改定に際し、東京附近における電車特定区間および山手線内の運賃区分が廃止されました。私鉄競合の特定区間の運賃額も大幅に引き上げられたため、区間によっては競争力を失いました。ユーザーの逸走がどれだけ発生するかが懸念されます。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考資料

● JR西日本ニュースリリース「京阪神都市圏における運賃体系の見直しについて」2024.5.15付

● 運賃改定のご案内(JR東日本) 2025.10

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第77条他

● JR旅客営業制度のQ&A(自由国民社)2017.5

当記事の改訂履歴

2026年02月23日:当サイト初稿(リニューアル)

2024年5月17日:前サイト初稿(原文作成)

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