新幹線を利用する際には、原則的に新幹線経由の普通乗車券および新幹線特急券を購入する必要があり、その普通乗車券上の経由欄には新幹線乗車区間が明示されています。
ところで、新幹線は在来線を補完するために整備されており、新幹線と在来線が並行している区間が多く見られます。常に新幹線を利用するとは限らず、在来線を利用することも考えられますが、どのようにきっぷを買うのが適切でしょうか。
新幹線と在来線の並行区間においては、双方が同じ線路として扱われることが原則です。そのため、普通乗車券上の経路が新幹線経由か在来線経由かを問わず、他方の経路を利用できます。
しかし、一定の状況においては、普通乗車券の経路上に新幹線を明示的に含めると有利になることがあります。ネット予約サービスや指定席券売機でそのような普通乗車券を購入する際、一体どのような操作を行えばよいのでしょうか。

大都市近郊区間内で完結する経路において途中下車ができなくて困っている場合、新幹線経由とするとその問題を解決できます(一部の区間を除く)。新幹線経由で普通乗車券を購入し、実際には在来線を利用することをおススメします。
この記事では、普通乗車券を購入する際、乗車経路の一部に新幹線を含めることの必要性やメリットについてご説明します。その上で、そのような普通乗車券をネット予約サービスや指定席券売機を利用して購入するための操作手順をご紹介します。
きっぷのルールを熟知し、より賢くきっぷを利用したい方にとって、当記事が参考になれば幸いです。
- 新幹線・在来線の並行区間の一部駅間のみを新幹線経由もしくは在来線経由とできること
- 乗車経路が新幹線経由かつ営業キロが101km以上であれば、途中下車が可能になること
- 大都市近郊区間特例による大回り乗車が不可能で、経路通りに乗車する必要があること
新幹線と在来線並行区間の一部のみが新幹線経由の普通乗車券を見る

新幹線と在来線が並行する区間において、一部の区間を新幹線経由とし、残りを在来線経由とした普通乗車券を実際に見ていきましょう。
大宮駅・高崎駅間を新幹線経由とした普通乗車券2例
当記事で取り上げるのは、東京山手線内から高崎問屋町駅(群馬県高崎市)ゆきの普通乗車券と同区間を逆方向に向かう普通乗車券の2例です。
東京駅(東京都千代田区)と高崎駅(群馬県高崎市)を結ぶ区間には、上越新幹線と在来線(東北本線・高崎線)が並行しています。

東京駅・高崎駅間において新幹線と在来線が接続する駅は、以下の5駅です。
東京駅・上野駅・大宮駅・熊谷駅・高崎駅
このうち、上越新幹線熊谷駅・高崎駅間には本庄早稲田駅(埼玉県本庄市)が後になって設置され、新幹線と在来線が別線扱いとなりました。ただし、営業上選択乗車の特例が設けられているため(規則第157条)、いずれかの経由の普通乗車券を持っていれば新在別線であっても他方の経路を選択して乗車できます。
普通乗車券を購入する際、全区間(東京駅・高崎駅間)を新幹線経由とするのも可能ですし、一部の区間のみを新幹線経由とするのも可能です。
以下の2例については、いずれも大宮駅・高崎駅間を新幹線経由としました。
【指定席券売機で購入したきっぷ】
東京山手線内 → 高崎問屋町
経由:東北・大宮・新幹線・高崎・上越
営業キロ:107.8km/大人普通運賃:2,090円/2日間有効

東京近郊区間から外れているため、乗車券の有効期間は原則通り2日間です。途中下車が可能であるものの、大回り乗車は不可能であり、経路通り乗車する必要があります。
【ネット予約サービス「e5489」で購入したきっぷ】
高崎問屋町 → 東京山手線内
経由:上越・高崎・新幹線・大宮・東北
営業キロ:107.8km/大人普通運賃:2,090円/2日間有効

東京駅・高崎駅間については新幹線と在来線が同じ線路扱いであるため、営業キロはいずれも同じであり、運賃も当然ながら同額です(実際に新幹線に乗る場合、別に料金がかかります)。
これらの普通乗車券では、大宮駅・高崎駅間を新幹線に乗車することが前提になっています。しかし、同区間は同一線路扱いであるため、実はこれらのきっぷで全区間在来線に乗車しても問題ありません。
したがって、普通乗車券を購入する場合、通常は新幹線経由か在来線経由かをあまり気にする必要はないでしょう。
新幹線経由にすることで途中下車が可能というメリットが生じる
しかしながら、新幹線経由を明示して普通乗車券を購入することにはメリットがあり、きっぷの買い方にこだわりを持つことには一定の意義があります。
東京駅から高崎問屋町駅に至るまでの全駅は東京近郊区間に含まれるものの、経路中新幹線が含まれると東京近郊区間から外れます。このことが、新幹線経由で普通乗車券を購入する副次的なメリットです。
東京駅・高崎問屋町駅間の全区間を在来線経由とすると、東京近郊区間完結の経路となるため、乗車券の有効期間が当日限りとなります。普通乗車券を購入せずに交通系ICカードによるIC乗車も可能ですが、いずれの場合であっても途中下車ができません。
一方、経路中のどこかに新幹線が含まれると、紙のきっぷである普通乗車券の購入が必須になります。ただし、東京近郊区間から外れるため、同じ区間であっても2日間有効の途中下車可能な乗車券に変貌するわけです。
このように、新幹線経由を明示することを応用して、大都市近郊区間制度の対象から外すことが可能になってきます。
なお、これらの普通乗車券には特定都区市内制度が適用されるため、発着駅である東京山手線内の各駅では途中下車が不可能であることに注意が必要です。
乗車区間の全部もしくは一部を新幹線経由とした普通乗車券で在来線に乗車することは、規則上問題がなくても、本来的には意図されたきっぷの使い方とは言えません。しかし、実際の乗車区間や途中駅での下車状況によっては運賃の節約が可能になるため、ユーザー目線では否定することができないのです。
新幹線および在来線経由の普通乗車券で他方に乗車できる背景・根拠

新幹線と在来線が並行しており、同じ線路として扱われる区間においては、新幹線経由もしくは在来線経由のいずれかの普通乗車券を持っていれば、他方の経路への乗車が可能であることを申し上げました。
営業キロや運賃額が同じであるにもかかわらず、新幹線経由や在来線経由を普通乗車券に明示する必要があるのはなぜでしょうか。
日本全土を縦断する新幹線は在来線を補強する目的で整備されてきました。新幹線の整備は在来線の線増という側面があるため、そもそも新幹線と在来線は同じ線路であって然るべきです。
新幹線と在来線それぞれの線路の延長は実際には異なるものの、営業上同じ線路として扱うため、両者の距離(営業キロ)は同じです。
JR各社の運送約款である旅客営業規則においても、その点が反映されています。同規則第16条の2第1項により、大半の区間については新幹線と在来線が同一の線路(新在同線と呼ばれます)として扱われるルールです。
普通乗車券上には新幹線と在来線と指定されているにもかかわらず、同じ線路扱いであれば他経路を利用することが可能であることは自明でしょう。
また、乗車経路中に新幹線を含めれば、大都市近郊区間制度の運用によって途中下車が制限される首都圏内の在来線(東京近郊区間)から外れることになります。これは、経路中に新幹線区間を含めることで生じる副次的な効果であり、大都市近郊区間内完結の経路で途中下車をいかに可能にするかという答えでもあります。
実際には新幹線を利用しない場合であっても、新幹線経由と明示された普通乗車券を購入すれば、在来線途中下車の旅を楽しめることがルール上正当化されるわけです。
きっぷを買うのがやや煩わしい~自分で操作して経路を組むと便利~

このように、ユーザーが申告した新幹線の乗車区間を忠実に反映するのが、出札業務のあるべき姿です。しかし、新在同線扱いの区間においては、新幹線の乗車区間をそれほど忠実に反映する必要がないのも、これまた事実です。
そのため、乗車区間の一部だけを新幹線経由とすることを窓口で希望するのは、ユーザーと出札係員の双方にとってやや煩わしいと言えるでしょう。
さらには、出札窓口(みどりの窓口)の数も減少しており、混雑が激しいのが一般的です。オペレーターの援助を受けられる「話せる指定席券売機」や「みどりの券売機プラス」であっても、待ち時間が長いことがあります。
このような事情がある今だからこそ、自分で操作可能なきっぷは自力で購入することをおススメしたいです。
「えきねっと」や「e5489」といったネット予約サービスや、駅に設置された指定席券売機が整備されたことによって、自己操作するための環境が整ってきました。
ネット予約サービスにおいて普通乗車券を単独で購入できなかったり、他駅発の普通乗車券を指定席券売機で購入できないといった制約が、最近ようやく解消されました。一部の例外を除き、自己操作によって自由にきっぷを買えるようになったのです。

それでは、東京山手線内・高崎問屋町駅間の普通乗車券をネット予約サービスや指定席券売機で購入する具体的な手順を見ていきましょう!
ネット予約サービス「えきねっと」の操作
まず、JR東日本が展開するネット予約サービス「えきねっと」の操作について見ていきましょう。
「えきねっと」を利用すれば、日本全国のJR各駅を発着する普通乗車券を購入できます。JR東日本管内の駅では操作が制限されている他駅発近距離乗車券であっても、「えきねっと」を利用すればそのようなことを気にする必要はありません。
ただし、紙のきっぷを受け取れる駅は、原則的にJR東日本・北海道エリアに限定されることを覚えておきたいです。
「えきねっと」の特性上、経路指定があまり得意ではなく、単に経由駅を3駅まで指定できるにすぎません。経由駅の指定の仕方次第で異なる検索結果が表示されるため、勘が結果を左右します。
【この操作で購入する普通乗車券】
高崎問屋町 → 東京山手線内
経由:上越・高崎・新幹線・大宮・東北
2日間有効・大人普通運賃2,090円

初めの検索画面では、乗車駅・降車駅と経由駅を指定します。そして、検索オプションで「新幹線を利用」にチェックが入っていることを確認します。また、「乗車券のみ購入」にもチェックを入れることを忘れないようにしましょう。
残念ながら、「えきねっと」には、区間ごとに利用する列車を指定する機能はありません。ここでは、大宮駅から東京駅まで在来線を利用したいので、便宜的に南浦和駅を経由駅に指定しました。京浜東北線の駅なら、どの駅でも大丈夫です。

これは、検索結果の画面です。途中駅の高崎駅から最終的な発着駅、きっぷの有効期間、値段が表示されるので、どのような乗車券かおおよその当たりをつけられます。表示される有効期間が2日間以上であれば、途中下車できるきっぷであると判断することが可能です。
指定した経由駅次第では、思うような結果が表示されずに悪戦苦闘します。「えきねっと」で乗車券を購入する場合、一見簡単なように思えるものの、実は経路を組む上で深い知識が要求されます。
ネット予約サービス「e5489」の操作
次に、JR西日本が運営するネット予約サービス「e5489(いいごよやく)」の操作について見ていきましょう。
「えきねっと」では日本全国のJRきっぷを購入できるのに対し、「e5489」では東北・北海道エリアの列車のきっぷを購入できません。また、紙のきっぷを受け取れる駅には限りがあります。
e5489では従前、乗車券のみを購入できませんでした。しかし、2023年2月のシステムリニューアルを経て、ようやく乗車券のみでも購入できるようになりました。ネット予約には「他駅発の乗車券の発売(他乗代)」という縛りがないので、どの駅発の乗車券でも購入可能です。
「e5489」の優れた点は、経路の途中で新幹線・在来線のいずれに乗車するか、開始駅と終了駅を3区間まで指定して検索できることです。何駅から何駅までは新幹線に乗ると直感的に指定できるので、経路組みに関する知識や経験がなくても、自由自在かつ簡単に操作できます。
ここでも、先の設例で操作方法を解説します。
【この操作で購入する普通乗車券】
高崎問屋町 → 東京山手線内
経由:上越・高崎・新幹線・大宮・東北
2日間有効・大人普通運賃2,090円

一番初めの検索画面では、出発駅・到着駅および乗車日・時刻を指定します。そして、乗り換え指定を「乗り換えせず利用する区間を指定」とします。

すると、乗車駅、降車駅、利用列車を指定できる欄が3行表示されます。利用列車には、「新幹線」もしくは「快速・普通列車」の別を明確に指定できます。「えきねっと」にはない、素晴らしい機能です。
乗車区間および利用する列車を入力した後、必ず「乗車券のみを予約」にチェックを入れてから[検索する(新規予約)]を押します。

経路を確認し、人数を指定すると、最終画面が表示されます。ここで乗車券の金額、有効期間、区間が表示されるので、確認してから購入を確定します。
このケースでは、2日間有効の途中下車可能な普通乗車券が、高崎問屋町駅から東京山手線内ゆきとして発行されます。ユーザーインターフェースは決して良くありませんが、経路指定の自由度が高いため、結果として直感的に操作することが可能です。

クレジットカードでオンライン決済して、実際に受け取ったきっぷです。経由欄には「上越・高崎・新幹線・大宮・東北」と、完璧に表示されていました。
指定席券売機の操作

JR各社の主要駅に設置された指定席券売機では、どうでしょうか。
当記事では、JR東日本管内の駅に設置されている指定席券売機をもとにして、操作手順をご説明します。JR他社の指定席券売機にも同様の機能がありますが、画面遷移が若干異なることに留意してください。
指定席券売機で乗車券を発行できる機能には「乗換案内から購入」から経路を検索するメニューと、乗車券のみを購入する専用メニューがあります。
1.JR東日本管内に設置されている指定席券売機の初期画面では、最初に[きっぷを買う]を押します。

その後、きっぷを新規購入するためのメニューが表示されます。
経路検索メニュー「乗換案内から購入」
「乗換案内から購入」メニューでは、新幹線利用の有無や乗り換えなしの区間、経由駅のみを指定できます。「えきねっと」の操作感に似ていますが、必ずしも思った通りに経路を指定できるわけではありません。
「乗換案内から購入」からきっぷを購入する詳細な方法については、以下の記事にてご説明しています。

乗車券メニュー
一方、乗車券メニューを利用すれば、細かな条件を指定して普通乗車券を購入することが可能です。当記事では、冒頭でご紹介した普通乗車券を、乗車券メニューから購入した際の具体的な手順を順次ご説明します。
【この操作で購入する普通乗車券】
東京山手線内 → 高崎問屋町
経由:東北・大宮・新幹線・高崎・上越
2日間有効・大人普通運賃2,090円
2.次の画面にある[乗車券のみ]を押して、乗車券メニューに入ります。

3.乗車日と人数を選択すると、乗車する列車の種別を選択するように求められます。今回は「特急(新幹線または在来線)等を利用する」を選択します。

発駅と着駅がともに大都市近郊区間内に位置する場合、ここで在来線の「普通列車のみ利用する」を選択すると、最短経路で運賃計算されます。ただし、距離に関係なく、途中下車ができない当日限り有効の乗車券となります。
新幹線利用の有無を問わず、乗車経路通りに運賃計算を行い、大都市近郊区間の制限を外すには、必ず「特急(新幹線または在来線)等を利用する」を選択します。
4.乗車券の発駅を入力します。操作を行っている駅以外の他駅も選択可能です。

5.新幹線・在来線特急列車に乗車する駅を入力します。

6.乗車する特急列車の種別を選択します。

7.特急列車を降りる駅を選択します。

8.普通列車に乗り継ぐので「高崎駅で普通列車に乗り換える」を選択します。

9.乗車券の着駅を選択します。

10.途中の区間に新幹線が含まれる経路が表示されます。複数表示される場合、該当するものを選択します。

11.ゆきのきっぷのみを購入するかかえりのきっぷも購入するかを選択します。

12.決済直前の最終画面が表示されます。発駅が「東京山手線内」と表示され、新幹線経由の乗車券が発行されることが分かります。

13.購入するきっぷの値段が表示されたら、決済を完了し、きっぷを受け取ります。

これらの手順を踏んで発行されたのが、以下の普通乗車券です。

普通乗車券の経由欄には、操作手順の中で指定した「東北・大宮・新幹線・高崎・上越」が表示されています。
まとめ

新幹線に乗車する場合、実際に乗車する経路が記載された普通乗車券(紙のきっぷ)を購入するのが、基本的なルールです。本記事でご紹介したネット予約サービスや指定席券売機の操作手順は、本来は経路通りのきっぷを買うためのものです。
発駅と着駅がともに大都市近郊区間内に位置する場合、明示的に新幹線経由としないと大都市近郊区間制度が適用される在来線経由の普通乗車券となってしまいます。その場合、途中下車ができなくて困ることになります。
その解決策として、乗車経路の全区間もしくは一部区間が新幹線に並行している場合、経路中に新幹線を含めると効果的です。
全区間もしくは一部区間を新幹線経由とした普通乗車券で在来線に乗車することは、本来意図されたきっぷの使い方ではないものの、ルールには抵触しないので特に問題ありません。
「えきねっと」では経由駅しか入力できないため、思った通りの経路が表示されるまで試行錯誤する必要があります。しかし「e5489」では新幹線・在来線の普通列車の乗車区間を明示的に指定できるため、直感的に操作できます。
JR主要駅に設置された指定席券売機でも、乗車券メニューから同じような乗車券を購入することが可能です。ただし、購入内容を確定するまでの操作に時間がかかるため、あらかじめネット予約サービス上で購入内容を確定してから指定席券売機で受け取ることをおススメします。
きっぷの購入操作を自分でできれば、出札窓口での待ち時間がなくなる上、出札係員とやり取りするストレスを感じずに済むかもしれません。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第16条の2
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第156条-第157条
当記事の改訂履歴
2026年5月08日:当サイト第2稿
2023年12月24日:当サイト初稿(リニューアル)
2023年5月25日:前サイト初稿





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